価格、パフォーマンス、消費電力の“三方良し” 「GeForce RTX 3070」徹底レビュー(4/4 ページ)

» 2020年10月27日 22時00分 公開
[松野将太ITmedia]
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DXRを有効化するとどうなる?

 ここからは、GeForce RTXが本領を発揮する、DXRを用いたベンチマークテストの結果を見ていこう。まず3DMarkのDXRテスト「Port Royal」テストを実行してみた。

 リアルタイムレイトレーシング(RT)が絡むと、GPUの実力差がスコアの差として如実に出る。ただ、今までのテストと比べると、RTX 3070とRTX 2080 Tiのスコア差がやや大きくなっていることが気になる。RTX 2080 Tiの方が9%ほどスコアが高いのだ。

 スコア差が大きく出た一番大きな要因は、グラフィックスメモリの帯域幅の差であると思われる。

Port Royal 3DMark(Port Royal)の結果

 実際のゲームでも、この差は同様なのだろうか。DXRプリセットを「強」に設定して、CONTROLのフレームレートを再び計測してみた。その他の条件は先ほどと変わりない。

 RTX 3070のフレームレートを見てみると、フルHDでは平均78fps前後、WQHDでは85fps前後、4Kでは平均47fps前後となり、わずかながらRTX 2080 Tiを上回った。先ほどのPort Royalとはやや毛色の異なる結果となっている。ただし、4Kともなると、両者に差はほぼない。

 4Kでゲームを楽しむ場合、RTX 3080がずば抜けて快適な選択肢となるだろうが、それ以外の解像度ではRTX 3070とRTX 2080 Tiとの間に体感上の差はほぼないだろう。

CONTROL(フルHD、DXR高) CONTROL(フルHD、DXR高)のフレームレート
CONTROL(WQHD、DXR高) CONTROL(WQHD、DXR高)のフレームレート
CONTROL(4K、DXR高) CONTROL(4K、DXR高)のフレームレート

 フォートナイトでもDXRを有効化してフレームレートを見てみよう。レイトレーシングに関する設定を全て「最大」としたこと以外は、先ほどと同じ条件でレートをチェックしている。

 フォートナイトは、RTX 3080のレビューを実施した後にアップデートがあった。このアップデートを適用すると、DXRを利用した際の負荷が以前よりも大きくなる。RTX 3080ですら、フルHD時の平均フレームレートが90fpsをやっと超える程度になってしまう。当然ながら、ここまで重たくなると4KではどのGPUでも実用的なプレイは厳しい。

 フレームレートの序列については、CONTROLとほぼ同じ並びとなっている。4K以外の解像度においてRTX 3070がRTX 2080 Tiを少しだけ上回ることも同様だ。

 ここまでのほとんどのテストにおいて、RTX 3070とRTX 2080 Tiのパフォーマンスは拮抗(きっこう)している。テストのサンプル数が少ないため確かなことはいえないが、DXRが有効なゲームでは、RTコアの性能が向上したRTX 3070が優位に立つ場面は多いかもしれない。

フォートナイト(フルHD、DXR最大、DLSSバランス) フォートナイト(フルHD、DXR最大、DLSSバランス)のフレームレート
フォートナイト(WQHD、DXR最大、DLSSバランス) フォートナイト(WQHD、DXR最大、DLSSバランス)のフレームレート
フォートナイト(4K、DXR最大、DLSSバランス) フォートナイト(4K、DXR最大、DLSSバランス)のフレームレート

 加えて、レイトレーシングとDLSSの性能を確かめるべく、実ゲームベースのベンチマークテスト「Boundary: Raytracing Benchmark」の挙動もチェックした。

 このテストではDLSSのプリセットを3種類から選べるが、今回は画質を極力維持する「Quality」と、フレームレートを重視した処理をする「Performance」の2種類でフルHD、WQHD、4Kの3解像度における平均フレームレートを計測した。

 性能差の傾向は、先に行ったテストと同様だ。解像度や設定を問わず、RTX 3080は圧倒的に優勢。RTX 3070とRTX 2080 Tiは、解像度やプリセットによって勝ったり負けたりする。RTX 2080は、どのような状況でも他のGPUに負けてしまう。

 価格面を考慮に入れても、RTX 2080を搭載するグラフィックスカードを今から購入する旨味は限りなく薄いだろう。

Boundary: Raytracing Benchmark(Quality) Boundary: Raytracing Benchmark(Quality)の結果
Boundary: Raytracing Benchmark(Performance) Boundary: Raytracing Benchmark(Performance)の結果

消費電力はRTX 2080 Tiより低い

 最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。

 アイドル時の消費電力はいずれも60W程度。高負荷時は、RTX 3080の電力消費の大きさが目立つ。しかし、注目したいのはRTX 3070とRTX 2080 Tiとの関係だ。

 性能検証では、ほとんどのシーンで両者は拮抗していた。だが、高負荷時の消費電力は、RTX 3070が最大338W、RTX 2080 Tiが最大378Wと、約40Wもの差が生じた。RTX 3070のワットパフォーマンスは極めて良好であると言っても良いだろう。

 ちなみにNVIDIA公式サイトのスペック表によると、RTX 3070のシステム電力要件は650Wとなっている。RTX 3080のように「GPUの新調に合わせて、より出力の大きい電源ユニットに変えなければいけない」といった状況は生じにくいだろう。

消費電力 システム全体の消費電力

価格と消費電力の両面で優秀なGPU

 ここまで見てきた通り、GeForce RTX 3070は前世代のハイエンドGPUであるGeForce RTX 2080 Tiに真っ向から対抗できるだけの総合性能を有しつつも、価格や消費電力面で優位に立っている。極めて優秀なGPUといえる。

 前世代では“ハイエンドの顔”としてもてはやされた感もあるRTX 2080 Tiだが、これほどのポテンシャルを持つ新しいGPUが出てきたとなると、あえて購入を勧めるだけの理由も考えにくい。大幅な値下げがない限りは、素直にRTX 3070をチョイスするのが“吉”である。

 懸念があるとすれば、発売直後の入手性だろう。現時点で発売済みのRTX 3080やRTX 3090は、需要に対して入荷数が少なかった。この品薄感は、現時点においても解消しきれていない(参考記事)。

 RTX 3080/3090よりも手頃なRTX 3070は、多くのユーザーにとって性能的にも十分で、潜在的な需要は非常に高いように思える。何度もいうが、ポテンシャルは抜群であるため、潤沢な在庫が早めにそろうことを願うばかりだ。

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