セットアップのフローは、従来と特に変わらない。完了後に適切なデバイス名に変更し、リクエスト音はオンにしておくと使いやすくなる。また、必要に応じてウェイクワードを変更しておくとよいだろう。
本製品は、これまで上位モデルのEcho Plusに搭載されていた機能が、そっくりそのまま移植されている。それゆえEchoの最新モデルでありながら、実質的にはEcho Plusの後継と言って差し支えない機能を備えている。
まず1つは温度センサーだ。Alexaアプリで温度を表示できるのはもちろん、「25度を下回ったらメッセージでお知らせする」などの連携も可能だ。今回は試していないが、スマートリモコンを使うなどして外部のエアコンと連携し、自動運転も行える。
もう1つはZigBee規格のスマートホームハブ機能だ。これがあれば、ZigBee対応の家電製品を音声で直接オン/オフを切り替えられる。赤外線方式のスマートリモコン機能と違って対応製品は決して多くないが、Hueなどのメジャー製品に採用されているのは見逃せない。というよりも、この機能を使う人が組み合わせる対象はほとんどがHueだろう。
さらにもう1つ、「タップジェスチャー」なる機能も搭載されている。これは本体上部を軽くたたくことで、アラームをスヌーズ状態にできる機能だ。Echo Dot with clockから採用された機能で、アラーム機能を多用する人には便利だろう。ただし、個人的にこの操作は、音楽再生を一時停止もしくはミュートする用途に使えてほしかった。
さて、本製品の売りは音質の向上だ。スマートスピーカーを音楽再生に使う人は多いとされ、最近のスマートスピーカーは、GoogleにしてもAmazonにしても、新製品は音質の向上を訴求する傾向があり、本製品もその例に漏れない。内部に3型のウーファーと2つの0.8型ツイーターを内蔵する。
実際に聴き比べた限りでは、第2世代→第3世代ほどの変化はないが、従来の第3世代モデルと比べて、こもりがちだった音が開放的になっているのを感じる。ちなみに、背面がプラスチックで覆われていることからも分かるように、これまでのような360度全方向ではなく、前方を中心に音が出る指向性へと改められたのは、デザイン変更に伴う大きな変化だ。
1つ困りものなのが、音量ボタンを押した時に音量が変化する割合が増え、従来より細かい調節ができなくなったことだ。体感的には、第3世代モデルで2回ボタンを押して下がる音量が、本製品では1回押しただけで済んでしまう。つまり2段階分が1段階にまとめられた形だ。
音量の段階も、聞こえるか聞こえないかギリギリの音量を出せた第3世代モデルと違って、本製品はかなり大雑把な調整しかできず、枕元で音を下げて聴いている場合にもう一段階音量を下げようとするといきなりミュートになってしまうなど、小さな音量で使うには不便になってしまった。
特にEchoの場合、音声での音量調整は0〜10とかなり大雑把なので、音を下げて聴くにはパーセンテージ単位で音量を変更できるAlexaアプリを使わざるを得ないことが多いのだが、こちらも細かな調整ができなくなっており、非常に使いづらい。現状、これの解決策は思いつかない。
一方、聞き取り性能については、全く普通に使える場合もあれば、突如として応答しなくなり、繰り返し呼びかけても無視されるという症状が今回の試用中に2度発生し、かなり気まぐれな印象だ。少なくとも聞き取り性能が向上したようには感じられない。
ちなみに、本製品には「第1世代AZ1ニューラル・エッジ・プロセッサ」が搭載されており、今後のアップデートで、さらなる高速応答が可能になるとされている(米国では既に対応済み)。つまり、現状では100%の力を発揮できない「つなぎ」の状態にあり、ひとまずはこのアップデート待ちと言えそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.