2021年のWindows一大トピック「Sun Valley」の最新事情を検証するWindowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2021年02月01日 12時00分 公開
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Sun ValleyによるWindowsシェルの変更点

 話をSun Valleyの本題に戻すと、細かくOSの“シェル”そのものに手が加わりつつあることが分かる。

 1つは、1月6日(米国時間)にDev Channel向けに配信されたWindows 10 Insider Previewの「Build 21286」で、タスクバー上に新たにニュースと天気のウィジェットが追加されている。

 何かWindows Vistaのウィジェットをほうふつとさせ、一部で物議を醸しているが、どうやらこれもSun Valleyに向けたアップデートの一種らしい。前述のように、Beta ChannelではなくDev Channelのみで加えられる機能や、変更の多くは次々回以降の大型アップデートに反映される可能性が高いため、少なくともこのニュースと天気のウィジェットは21H2以降をターゲットとしている。

Dev Channel向けに配信されたWindows 10 Insider Previewの「Build 21286」に含まれる、ニュースと天気のウィジェット機能

 新しいウィジェット機能について「これがSun Valleyか?」と疑問を呈したTwitterアカウントのWalking Catに対し、メアリー・ジョー・フォリー氏は下記のように答えている。つまり、これら新機能はSun Valleyに近付く一歩だという認識だ。

 これに関してさらに気になるのが、ジョー・フォリー氏が自身の記事で触れている、ウィジェットに表示される情報フィードの狙いだ。

 ユーザーごとの興味に応じて情報やニュースがカスタマイズされる仕組みは、同社のMicrosoft LauncherアプリやBingの検索ページのそれに近く、タスクバー上でのウィジェット機能もそれになぞらえた動きだとしている。

 この仕組みは、MicrosoftでWeb関連事業を手がけるWeb Experiences Team(WebXT)の担当で、先日人員募集が行われたWebXTの事業解説において「Bing、コンテンツフィード、Edgeのような事業におけるコマース事業で、それを支援するための大規模な決済サービスの構築を行う」と書かれていたという。

 同社によれば、これらの情報フィードは広告なしで提供されるものとしているが、どのような形で他の事業やパートナーとの関係にリンクしてくるか現時点で分からない。なお、Dev Channelで提供されている現在の機能は、タスクバーを右クリックすることで簡単に消すことが可能だ。

 また、全体のビジュアルデザインについては、下記のWindows Latestの情報が参考になる。ボタンや各種コントロールなどの要素が全体にリフレッシュされ、角が取れて丸みを帯びたデザインとなっている。

 これは表示されるウィンドウについても同様で、Macユーザーなどにはおなじみのものかもしれない。アクションセンターや通知の表示方式は、Windows 10X方式のものに寄せられている。

 つまり、Sun ValleyはWindows 10Xも含めてWindowsのUI全体のリフレッシュを行うプロジェクトだといえる。Sun Valleyとは直接関係ないが、Windows Latestでは「Cloud PC」機能の提供の話題についても触れており、Windows 10Xが登場時点でWin32アプリケーション実行のサポートをしていなくても、Azureクラウド経由で実行できる可能性が高い。

 なお、同誌によればCloud PCは用途に応じて「Medium(汎用)」「Heavy(パフォーマンス)」「Advanced(ビジネス)」の3つのインスタンスが存在しているとのことで、Microsoft Graphに対応する形で近々リリースされるという。おそらくは、Windows 10Xが一般リリースされる2021年春が提供ターゲットとみられる。

 現状、出回っている情報から判断する限り、Sun Valleyのプロジェクトの成果を反映して最初に登場するのは2021年春に登場が見込まれるWindows 10Xで、次がWindows 10本体の21H2リリースとなる。まだ少し先の話ではあるが、正式提供が近付いたタイミングでMicrosoftから改めて公式アナウンスが行われると思われるため、引き続き情報アップデートに注視してほしい。

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