Build、Inspire、Ignite……2020年はMicrosoftが主催する大型のリアルイベントが次々とキャンセルされたが、同社は2020年の早い時期に「2021年7月いっぱいまではリアルイベントを開催しない」と宣言しており、従業員のWFH(Work From Home)も継続している。つまり、従来は春に開催されていたBuild、夏に行われていたInspireは、少なくとも完全デジタルイベントに移行した状態が継続されることを意味する。
近年、MicrosoftのAI+クラウド戦略にマッチする形で最も発表事項の多いイベントになりつつあるIgniteだが、デジタルイベントそのものは2020年9月に開催済みだ。
ただし、これらのグローバルイベントに関して、2021年の開催概要についてはまだほとんど明らかにされておらず、BuildとInspireについては「Recently Concluded(最近終了した)」とのみ記されている。
Igniteに関しては2021年の開催日程が「3月2日〜4日」とアナウンスされており、つい本稿の執筆を開始したタイミングでイベント登録の受付を開始している。Microsoftアカウント(個人/法人含む)、LinkedInアカウント、GitHubアカウントのいずれかがあれば誰でも無料で登録が可能だ。
内容については現在はまだほとんど分からないが、Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏が登壇する以外は、主にビジネスアプリケーション系のエグゼクティブが中心であり、内容的にもテクノロジー寄りというよりはユーザー視点で最新ツールやソリューションに関する話題が多く含まれると思われる。ここでの発表内容は追ってフォローしていきたい。
このように、2020年に引き続きリアルイベント開催の見通しの立たない2021年だが、今年はリアルイベントで多くの人々を集めて話題を盛り上げるというよりも、商品個別やテーマ別トピックごとにイベントを開催し、必要な情報を必要なタイミングで伝えていく手法が中心となりそうだ。
同件はThe Vergeのトム・ウォーレン氏が報じているが、バーチャルイベントにより世界中から参加のための垣根が一気に低くなり、情報を拡散させるための手段が変化したことが背景にあると思われる。
正直なところ、従来のスタイルをそのままオンラインに持ち込んだITイベントの参加は筆者にとって苦痛で(かつてのディレクトリ型検索エンジンで目的の情報を見つけ出すようなイメージに近い)、各社が必要な情報のみをピックアップして手短にまとめて必要な人に発信していく……という流れの方が気疲れなく、情報の取捨選択も楽だと感じている。
ウォーレン氏によれば、このような形でテーマをバラして行われる最初のイベントは、2月4日(米国時間)に開催されるMicrosoft 365と従業員のDXに関する話題のものだという。
同様に、クラウド、ゲーム、Windows、セキュリティといったそれぞれのテーマにフォーカスしたイベントが今後数カ月のうちに次々と開催されていくことになるということで、従来のBuild、Inspire、Igniteといった大型イベントが維持される一方で、伝えたいテーマを絞ってアナウンスを行う手法が2021年に実施される。
ここで注目するのは、「Windows」をテーマにしたイベントの話題だ。2021年のWindowsにおける一大トピックが「Sun Valley」であることは何度も触れているが、これとその成果の一部である「Windows 10X」について、何らかの発表を行うことになるとウォーレン氏は指摘する。
「シングルスクリーン版Windows 10X」の登場が春ごろといわれており、それを考慮すれば4月〜5月ごろまでにはSun ValleyとWindows 10Xの話題に触れるイベントが開催されてもおかしくないと筆者は考える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.