未来を創る「子どもとプログラミング教育」

本当に満足できるのか? 中高生向けモバイルノートPC「LIFEBOOK EH」を中学生と高校生に使わせてみた(1/3 ページ)

» 2021年03月18日 17時45分 公開
[石井英男ITmedia]

 2020年12月10日、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)13.3型の新型モバイルノートPC「LIFEBOOK EH」を発売した。モバイルノートPCといえばビジネスマンを想定した製品が多いが、LIFEBOOK EHは高学年の小学生から高校生をメインターゲットとしていることが大きな特徴だ。

 FCCLのPCは、文教(学校向け)市場において高いシェアを誇る。ここ数年はそのノウハウを投入したコンシューマー製品に注力している。このLIFEBOOK EHもその1つで、2020年9月に発売された2in1タブレット「arrows Tab EH」の上位モデルという位置付けだ。

 筆者には高校1年生の娘と中学1年生の息子がいる。娘はガンダムとトレードカードゲーム(TCG)が大好きで、情報システム科に通っている。一方、息子は暇さえあればPCでゲームばかりしている。ある意味でPCにとても良く慣れ親しんでいると言っても良いだろう。

 LIFEBOOK EHは、ちょうど娘と息子の年齢層を想定した商品だ。PC慣れしていても十分使いこなせるものなのか、実際に使ってもらいつつ検証しよう。

LIFEBOOK EH 高学年の小学生から高校生までを想定して開発されたモバイルノートPC「LIFEBOOK EH」
娘とLIFEBOOK EH LIFEBOOK EHを手にする筆者の娘

Windows 10 Home(Sモード)で第11世代Core i3と高速SSDを搭載

 本格的にレビューする前に、LIFEBOOK EHの基本スペックをチェックしていこう。

 CPUは第11世代の「Core i3-1115G4」(3.0GHz〜4.1GHz、2コア4スレッド)を搭載している。「Tiger Lake」という開発コード名でも知られるこのCPUは現時点における最新世代で、小学校や中学校に導入される学習用端末(タブレットPC)よりも格段に性能は良い。

 一方で、コストダウンのためか、メインメモリは4GB(LPDDR4X-4266規格)と少なめなことが気がかりである。GIGAスクール構想における学習用端末の推奨メモリ容量は4GBで、それを満たせば十分という考えもあるのかもしれない。しかし、CPUのスペックを考えると、せめて8GBは搭載してほしかった。

 ただ、ストレージはPCI Express接続の128GB SSDを搭載しているので、メインメモリの容量の割にはサクサク動作する。学習用端末やそれをベースとする子ども向けPCは、コストの都合からストレージに低速なeMMCを使うことが多い。これが体感速度に大きな影響を及ぼすのだ。

 「メインメモリは少ないけれど、せめてストレージは……」といったメリハリを効かせた結果なのかもしれない。

デバイスマネージャ デバイスマネージャの表示。今回レビューした個体には、Samsung Electronics(サムスン電子)製の「MZVLQ128HBHQ-00007」(PM991の128GBモデル)が搭載されていた

 OSは、Sモードが有効化されたWindows 10 Home(64bit版)がプリインストールされている。Sモードはセキュリティとパフォーマンスに特化したモードで、「Microsoft Store」で提供されているアプリしか利用できず、Webブラウザも「Microsoft Edge」しか利用できない。その代わり、Sモードは余計なアプリが動作しない分動作が軽く、セキュリティ的にも安心度が高い。

 ただ、プログラミング学習で使う場合など、Microsoft Storeで提供されていないアプリを使いたい場合はSモードを解除することもできる。ただし、一度Sモードを解除すると、再度有効化することはできない参考リンク)。

Sモード プリインストールされているWindows 10 Homeは、Sモードが有効化されている
Sモード解除(その1)Sモード解除(その2) Microsoft Store外にあるアプリを使いたい場合は、Microsoft StoreからSモードを解除できる

見やすいフルHD液晶と打ちやすいキーボード

 ディスプレイは、フルHD(1920×1080ピクセル)の13.3型液晶で、タッチ操作やペン入力には対応していない。キーボード操作に慣れた小学校高学年以上を主なターゲットとしたモデルなので、タッチやペンは不要と考えたのかもしれない。

 GIGAスクール構想の学習用端末のディスプレイは、タッチ操作やペン入力に対応する代わりに解像度がWXGA(1280×800ピクセル)程度のものが多い。中学生や高校生になると、レポートなどで長文の文書を書く機会も増える。タッチ操作やペン入力よりも、ディスプレイの解像度を高くした方が利便性が高まるだろう。

ディスプレイ LIFEBOOK EHは13.3型フルHD液晶を搭載している。学習用端末よりも解像度が高いので、文章を作る際はより便利に使えそうだ

 キーボードの使いやすさも高く評価できる。日本語配列の86キーで、キーピッチは約19mmを確保している。配列も標準的で、変則的なキーピッチや横方向に圧縮されたキーもない。

 特筆すべきは、キートップ印字がアルファベットのみでスッキリしている点だ。かな(カナ)の印字がないため「かな入力」をする人には向かないが、小学校ではキーボード入力をローマ字入力で学ぶ。LIFEBOOK EHの兄弟機で、大学生や若い社会人をターゲットにした「LIFEBOOK CH」のキーボードも同様なので、若年層でカナ入力はほぼいないと割り切ったのだろう。

 キータッチは良好で、快適に入力できる。筆者の娘と息子にタイピングさせてみた様子は、後で紹介したい。

キーボード キーボードは日本語配列だが、かな(カナ)の印字が一切なく、見た目がスッキリとしている。打ち心地は良好だ
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