新生「nasne」を試す! 競合TVチューナーと使い比べてみたいよいよ姿を現した新生「nasne」(3/4 ページ)

» 2021年03月25日 10時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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ライバルのチューナーデバイスと比較した時の強みは?

 さて、本製品のようなチューナーデバイスは、数こそ多くないがいくつか存在しており、PCやタブレット向けの周辺機器として販売されている。今回はその1つ、ピクセラの「Xit AirBox」(サイトエアーボックス、XIT-AIR100WXIT-AIR110W)と機能を比較してみよう。

nasne 左が本製品、右がピクセラの「Xit AirBox」(XIT-AIR100W)。2020年時点で後継モデル(XIT-AIR110W)に切り替わり、生産は終了して流通在庫のみとなっている
nasne ポートの種類はほぼ同一だ。B-CASカードはサイズが異なるが、Xit AirBoxの現行モデルでは同じサイズへと改められている

 ネットワーク上に設置し、PCやタブレット/スマホからアクセスして視聴する仕組みは両製品ともに同一で、外出先からの視聴が可能なのも同様だ。またLANケーブル、アンテナケーブル、USBポートという背面のインタフェース類も酷似している。

 大きな違いは3つある。1つは本製品がHDD内蔵なのに対して、Xit AirBoxは録画のために外付けHDDを別途調達する必要があることだ。買ってすぐ使える手軽さでは本製品の方が上だ。また接続可能な外付けHDDは、本製品が最大6TB、つまり内蔵2TB+外付6TBで最大8TBまで対応するのに対して、Xit AirBoxは上限が2TBと心もとない。今となっては容量的にも割高だ。

 一方、本製品は録画中にその番組しか視聴できないのに対し、Xit AirBoxの現行モデル(XIT-AIR110W)は録画しながら別番組も視聴できる。一般的にTV番組は、ドラマやアニメなどジャンルごとに放映時間帯がかぶることが多く、特定のジャンルを追っていると録画しながらもう一方を視聴したいケースは多いだけに、そういった点で本製品は不利だ。

 もっとも、視聴アプリの使い勝手は、本製品の圧勝だ。UIこそよく似ているが、Xit AirBoxのアプリはうまく接続できる時とそうでない時があるなど不安定なのに加え、視聴中にハングアップしてデバイスの再起動を余儀なくされるのが日常茶飯事なのに対し、本製品は今回iPadOSとiOS、Androidで数日試用した限りでは、このような症状は一切なかった。

nasne Xit AirBoxアプリ(Xit wireless)の視聴画面。構成はよく似ているが、レスポンスはtorne mobileの圧勝だ

 また録画番組の視聴時、Xit AirBoxのアプリは10秒早送り/早戻しボタンを押すたびにプレビューが非表示になり、5〜10秒ほど待ってようやく再生が再開される。その間もバックグラウンドで再生は進んでいるので、結果的に15〜20秒の早送りのために5〜10秒待たされるというおかしな状態になり、およそ使い物にならない。

 しかし本製品はそういったタイムラグがほぼ皆無で、プレビューを保ったまま早送り/早戻しがサクサク行えるのでストレスもない。さらに画面上の進ちょくバーをタップして任意の位置にジャンプしたり、一定間隔でサムネイルを表示したりして目当ての場面を探すこともできるので、お目当てのシーンを探すのも容易だ。

 なお、本製品と組み合わせて使うPC用ビューア「PC TV Plus」は、このXit AirBoxにも対応するが、本製品での再生が至ってスムーズなのに対して、Xit AirBoxで録画済みのデータはコマ落ちが頻繁に発生する。これらから察するに、ハードウェアの処理能力に差があると考えるのが妥当だ。

 さらに外出先からの利用も、Xit AirBoxはワンセグ並みの画質に落とせば、映像/音声が途切れず再生できるものの、事前にリモート視聴用としてデバイスをアプリに登録したり、接続モードを「外出」に切り替えたりする必要があるなど手間がかかる。本製品は事前設定なしですぐ接続できるなどシームレスで、画質も良好だ。

nasne Xit AirBoxアプリは、デバイスをあらかじめリモート視聴用に登録しておく必要がある

 価格は本製品が税込み2万9800円(2TB)なのに対して、Xit AirBoxは同1万5800円だが、前述のようにXit AirBoxは別途HDDを購入する必要があるため、プラス1〜1.2万円程度は見ておく必要がある。本製品はアプリの費用も加算されるので、コストは本製品の方がかかるが、容量の拡張性やストレスのない使い勝手を総合的に考慮すると、本製品の圧勝というのが筆者の評価だ。裏番組録画への対応だけは、今後のモデルに期待といったところだろう。

nasne 設定画面。左がネットワーク回りの設定、右がメディアサーバの設定。本製品にアクセスしたデバイスはここに記録される
nasne 左がレコーダー設定、右がHDD管理。地デジだけでなくBS/CS放送にも対応する。デバイスからの視聴時に画質優先か、速度優先かもここで選べる

 最後に、新生nasneで気になるところを触れる。

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