在宅ワークでは、作業スペースの確保も大きな課題となる。その点、モバイルPCとモバイルディスプレイの組み合わせは、設置スペースが少なく済み、作業が終われば引き出しにしまえるなど、狭い住宅環境が多いであろう日本在住者には力強い存在だ。
Sculptorは14型と、15.6型が主流のモバイルディスプレイの中では小ぶりで、狭いスペースに置いてもあまり窮屈さを感じない。
また、床に足を投げ出した姿勢で仕事ができればと思って購入した小型の作業台“タブレットホルダー”にもSculptorを挿し込んでおける。Sculptorをできるだけ溝の左側に寄せ、ノートPCは台の右側に寄せ、なおかつ斜めに配置するだけで、2画面を見ながら作業できるようになるというわけだ。
仕事部屋の机の上に設置した液晶ディスプレイの画面解像度がフルHDなので、実を言うとSculptorを使って作業する方が効率アップにつながっている。Sculptorにウィンドウを2つ、ノートPCのディスプレイにも作業用に2つのウィンドウを表示させられるからだ。
14型で4K表示に対応、さらに10点マルチタッチ対応ディスプレイによって得られるメリットについて触れてきたが、Sculptorには気になる部分もある。
1つは、前述のように消費電力が大きいことだ。これは解像度が高い4Kモバイルディスプレイの現状では避けられない部分ともいえるだろう。13インチMacBook Pro(2020)単体では2時間作業しても21%程度しか内蔵バッテリー容量が減らないのに対し、Sculptorの輝度を最大にした状態でつなげて使っていると、同じ2時間で約78%も減ってしまった。
自宅内であれば、Sculptorに給電しながら使うこともたやすいが、外出先でコンセントがない場合は、常に大容量のモバイルバッテリーを一緒に持ち歩く必要がある。
もう1つ気になるのは、画面の回転モードだ。Sculptorは自動回転モードを備えており、スマホのように縦置きにすればポートレートモードに、横置きにすればランドスケープモードへと切り替わる……はずなのだが、縦置きから横置きにした際に「Waiting...」という表示が出て切り替わった後のアスペクト比がおかしくなる。
PC側でサブディスプレイの状態を確認すると、「縦」のままになっている。「縦」で表示する内容を横方向に展開してしまっているのだ。Macのシステム設定内ディスプレイの項目から、回転の値を変更しても反映されず、現状では手の施しようがない。
1度このような状態になってしまうと、いったんケーブルを抜く以外の解決方法がないため、ポートレートモードで表示することをしなくなってしまった。Webサイトの情報を閲覧するには、縦置きの方が効率が良いだけに残念だ。
とはいえ、自宅内であれば電源につなげておく、ポートレートモードを使わない、ということを徹底させれば済む話ではある。しかも、Sculptorの左側面のポートにPCを、右側面のポートに変換ケーブルを挿してしまえば、縦置きにすることがやりづらくなるので、普段はそのようにして運用している。
コンパクトなボディーであること、表示できる情報量が多いこと、USB Type-Cケーブル1本でPCとつなげられるため、準備も片付けも簡単なことなど、全体的には享受できるメリットの方が大きいSculptor。少しの違いで、こんなに使い勝手が変わるものか、という気づきが、さらなるモバイルディスプレイ沼にいざなうようで恐ろしくもあったりする。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.