2020年のWindows 10を振り返ったとき、バージョンアップや機能強化も停滞して、ソフトウェア的には大きなトピックがなかったという印象かもしれない。一方で、WFH(Work From Home)需要によりPC市場は近年ない盛り上がりを見せ、調査会社IDCの報告によれば、通年でのPC出荷台数は前年比13.1%増と横ばいまたは減少しか見せなかったトレンドを大きくひっくり返した。つまり、それだけWindows 10のライセンスが大幅に増加したことを意味する。
ZDNetでメアリー・ジョー・フォリー氏も触れているが、もともとMicrosoftは2020年3月の段階でWindows 10の月間アクティブデバイス数(Xboxなども含む)が10億台に達したことを報告していたが、2021年3月段階では何と一気に13億台にまで到達している。
つまり、それだけPC市場が一気に拡大したことを意味する。それに合わせる形で、Surfaceデバイスの売り上げは同社会計年度で2021年第3四半期(1〜3月期)に前年同期比で12ポイントも増加し、Windows OEMのライセンス売り上げは10ポイント増加している。
クラウドやOffice 365事業はさらに増加幅が大きく(さらにいえばXboxも)、PC市場の拡大とともに、Microsoftのビジネス機会はさらに広がったとみていいだろう。Microsoft Teamsの高頻度でのアップデートもまた、こういった市場醸成の一端を担った可能性もある。
一方でそれと引き換えというわけではないが、Windows 10そのものの停滞が目立ってしまったのは否めない。先日のWindows 10Xの開発中止を含め、Sun Valleyのような大規模な変化が既存環境に満足するユーザーに受け入れられるのか、2021年はOSにとってのチャレンジの年となる。
これらの動きを押さえつつ、2021年の年の瀬までのMicrosoftをぜひウォッチしてほしい。
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