アドビは7月20日、ビデオ編集アプリケーション「Premiere Pro」の機能アップデート(バージョン15.4)の配信を開始した。「Adobe Creative Cloud(Adobe CC)」において同ソフトを含むサブスクリプション契約をしているユーザーは無償でアップデートできる。
Premiere Proの機能アップデートに盛り込まれた主な機能は以下の通りだ。
今までβテストを実施していた「Apple M1チップ」搭載のMac(M1 Mac)へのネイティブ対応を正式にリリースした。
Intel CPUを搭載するMacと比べると、平均して77%の高速化を実現しているという。具体的にアプリの起動は50%、プロジェクトのオープンは77%、プロジェクトの保存は16%高速化したとのことだ。
「音声のテキスト化」は、動画に収録された音声から自動的に文字起こしをする機能で、日本語を含む13言語に対応している。異なる話者の認識も可能で、誤認識した部分の手動修正も容易に行える。生成したテキストは、そのまま動画にキャプションとして埋め込める他、字幕(SRT)ファイルとして保存することもできる。
キャプションとして埋め込む場合、その配置に苦労することもあるが、アドビの機械学習ベースのAI(人工知能)「Adobe Sensei」を活用して、キャプションを適切な位置とタイミングで自動配置する機能も備えている。
動画上に表示するモーションやテキストを編集する「エッセンシャルグラフィックス」では、テキストレイヤーに複数のシャドウ(影)を設定したり、テキスト背景の角を丸くしたりする機能が追加された。
また、今後の新バージョンで廃止が決まっているものの、テロップの作成で使われ続けている「レガシータイトル」について、エッセンシャルグラフィックスで利用可能なソースグラフィックスに変換するための新コマンドも実装される。
これらの新機能は、特に日本においてTV放送や企業向け動画の編集に携わるプロフェッショナルユーザーからの要望が多かったものだという。
Adobe Senseiを活用して動画の編集ポイントの頭出しを自動で行う「シーン編集の検出」は、処理を最適化することで最大2倍(M1 Macは最大3倍)のスピードで行えるようになった。
加えて、Windows版ではPCに接続したオーディオデバイスの追加/削除を自動で認識する機能が追加される。これにより、アプリ側でデバイスの追加/削除を行う手間が省けるようになる。
なお、オーディオデバイスの自動認識機能は、Adobe CCを構成する全ての動画作成アプリのWindows版に追加される。
Premiere Proと同時に、モーションキャプチャーアニメーション作成アプリ「Adobe Character Animator」もバージョンアップする。
バージョンアップによってM1 Macへのネイティブ対応が行われ、Intel Macと比較するとパペット/アートワークの読み込みは最大2倍、ワークスペースの切り替えは最大3倍高速化する。
モーショングラフィックス作成アプリ「Adobe After Effects」には、新たなパブリックβ版が登場する。
新β版では、プレビューとレンダリングを高速化するために「マルチフレームレンダリング」が採用される。これにより、現行の正式版と比べて、プレビューは最大で3倍高速になるという。また、レンダリングの完了をAdobe CCアプリ(デスクトップ/モバイル)または電子メールで通知する機能も追加される。
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