フルHD時代のスタンダードに相応しい? 「Radeon RX 6600 XT」の実力をチェック!(2/3 ページ)

» 2021年08月10日 22時00分 公開
[松野将太ITmedia]

「Radeon RX 6600 XT」の性能を検証

 ここからは、BIOSTAR AMD Radeon RX 6600 XT graphics cardを使ってRadeon RX 6600 XTの性能をチェックしていこう。

 今回は「Ryzen 9 5900X」を主体とするAMDプラットフォームでテストを実施する。比較対象として、AMDが公式で「仮想敵」に設定した以下のGPU(グラフィックスカード)も用意した。

  • GeForce RTX 3060(ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge)
  • GeForce GTX 1060(ROG-STRIX-GTX1060-O6G-GAMING)

 グラフィックスドライバーは、Radeon RX 6600 XTがテスト版の「Radeon Software Adrenalin 21.8.1」を、GeForceはテスト時点で最新の「バージョン471.41」を利用している。

 なお、Radeon RX 6600 XTとGeForce RTX 3060は、PCI Expressバスを介してCPUがグラフィックスメモリにアクセスできる「Resizable BAR」(Radeonでは「Smart Access Memory(SAM)」と呼んでいる)を利用できる。今回は、この機能を有効にしてテストを実施している。

検証環境 今回の検証環境

3DMark

 まず、DirectX Raytracing(DXR)を利用しないベンチマークテストを進めていく。

 1本目は、3Dグラフィックスの描画性能をチェックする定番のベンチマークソフト「3DMark」だ。今回は、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズを実行した。

 RX 6600 XTの総合スコアは、フルHDで描画する「Time Spy」で9920、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Time Spy Extreme」で4677となった。RTX 3060と比較すると、Tyme Spyで8%ほど、Time Spy Extremeで5%ほど高いスコアを記録した。GTX 1060との比較では、両テスト共に約2倍のスコアをたたき出した。

 GTX 1060の発売当初の想定販売価格は249ドル(当時のレートで約2万5000円)だった。このGPUが“5年落ち”であることも加味すると、AMDの言う通りRX 6600 XTにGeForce GTX 1060を置き換えるだけの価値があることは間違いない

3DMark(Time Spyシリーズ) 3DMark(Time Spyシリーズ)のテスト結果

 Fire Strikeシリーズのテストでは、RX 6600 XTとRTX 3060のスコア差がやや大きく出た。計測回によってわずかなばらつきはあるものの、どの解像度でもRX 6600 XTの方が20%ほど良いスコアである。GTX 1060とのスコア差は、Time Spyシリーズと同様におおむね2倍だった。

3DMark(Fire Strikeシリーズ) 3DMark(Fire Strikeシリーズ)のテスト結果

PCゲームにおけるフレームレート

 実際のゲームにおけるフレームレート(秒間の描画コマ数)もチェックしてみよう。

 まず、人気のシューター系タイトル「Apex Legends(エーペックスレジェンズ)」を試してみよう。今回は描画負荷がもっとも高くなるように設定を行った上でゲーム内の一定コースを移動する際の1分間の平均フレームレートと、最小フレームレート(Min 1%)を「CapFrameX」を使って取得した。解像度はフルHD、WQHD、4K(3840×2160ピクセル)の3種類で試している。

 RX 6600 XTとRTX 3060とのフレームレートの差は、3DMarkにおけるスコア差よりも控えめだ。フルHDとWQHDではスコアがおおむね拮抗(きっこう)している。フルHDであれば、どちらのGPUも高リフレッシュレートディスプレイを活用できるだけの性能を備えている。ただし、4K時のフレームレートは、RTX 3060がRX 6600 XTを大きく上回る。

 本作はGTX 1060でも十分に楽しめるのだが、フレームレートを測ってみるとRX 6600 XTやRTX 3060に2倍超の差を付けられてしまう。高リフレッシュレートディスプレイのラインアップが充実してきた現状を踏まえると、可能な限り新しめのグラフィックスカードを用意しておいた方が良さそうである。

Apex Legends(フルHD) Apex Legends(フルHD)のフレームレート
Apex Legends(WQHD) Apex Legends(WQHD)のフレームレート
Apex Legends(4K) Apex Legends(4K)のフレームレート

 より高負荷なタイトルでは、フレームレートにどのくらい差が付くのだろうか。「Cyberpunk 2077(サイバーパンク2077)」で試してみよう。

 このゲームはDXRに対応しているが、ここではDXRを無効とした状態でフレームレートを計測する。画質はプリセットの中で最も高画質な「ウルトラ」を選択し、フィールド上の一定コースを移動する際の1分間の平均/最小フレームレートをCapFrameXで計測した。解像度は、先ほどと同様にフルHD、WQHD、4Kの3種類で試している。

 Cyberpunk 2077は、現行のPCゲームの中でも処理負荷的な意味で屈指の“ヘビー級タイトル”である。それでも、RX 6600 XTはフルHDで平均66.8fps、最小51.8fpsと、実際のゲームプレイにおいて十分なフレームレートを確保している。レート自体の傾向はApex Legendsと同様で、フルHDとWQHDではRX 6600 XTとRTX 3060はおおむね同レート、4KになるとRTX 3060がRX 6600 XTを突き放す、といった格好だ。

 これだけ重いタイトルともなると、最高画質にするとGTX 1060にはフルHDでも荷が重い。カク付きが多くなり、スムーズなプレイは厳しい状況である。4Kにすると起動すらできなかった。

Cyberpunk 2077(フルHD) Cyberpunk 2077(フルHD)のフレームレート
Cyberpunk 2077(WQHD) Cyberpunk 2077(WQHD)のフレームレート
Cyberpunk 2077(4K) Cyberpunk 2077(4K)のフレームレート

 少なくともApex LegendsとCyberpunk 2077のフレームレートを見る限り、RX 6600 XTのフルHDにおける描画性能は、RTX 3060と同等か少し上回るようだ。ただし、解像度が上がるとRTX 3060の方が有利になる傾向も見受けられる。

 もっとも、RX 6600 XTもRTX 3060もフルHDにおけるゲーミングに最適化されたGPUである。フルHDでゲームを楽しむなら大差はなく、甲乙つけがたい。RX 6600 XTはこのクラスのGPUとして有力な選択肢の1つであることは間違いない。

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2024年04月19日 更新
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