ゲーミングPCでは、CPUにAMDのRyzenシリーズ、GPUにNVIDIAのGeForce RTXシリーズという組み合わせが人気となっているが、今回紹介するのはRyzen+Radeon採用モデルだ。
マウスコンピューターの「G-Tune EP-A-6700XT」は、GPUに最新のRadeon RX 6700 XTを採用し、CPUにRyzen 5000シリーズを組み合わせている。くしくも、同社のフルタワーボディーのカラーリングはAMDカラーと言えるブラック/レッドだ。AMDぞろえのゲーミングデスクトップPCをじっくり検討していこう。
本製品は、フルタワーボディーを採用するハイエンドに属するモデルだ。AMD Radeon RX 6700 XT自体は、AMDのGPUにおけるフラグシップというわけではなく、上位にRX 6800 XTやRX 6900 XTが存在する。
とはいえ、パフォーマンスレンジとしてはフルHD(1920×1080ピクセル)〜WQHD(2560×1440ピクセル)での最高〜高画質設定を想定したもので、ハイエンドと呼べるGPUだ。CPUも標準構成ではRyzen 7 5800Xとなっており、ここもハイエンドだがフラグシップではない。
一方、G-Tune EP-A-6700XTの価格は標準構成だと税/送料込みで30万80円〜となっている。PCパーツの価格が高止まりしている現在、上記のCPU&GPUの組み合わせでフルHD〜WQHD解像度でのゲームプレイが望めるゲーミングPCとして考えると、確かに魅力的な選択肢と言えるだろう。高価ではあるが高過ぎるというほどではない。また、Ryzen+RadeonというコンビをBTO PCで選べるというのは、AMD好きの心を揺さぶる貴重なモデルと言えるだろう。
このように本製品はハイエンドクラスの構成で、その性能を引き出すならば十分な冷却性能を持つボディーとの組み合わせが好ましい。
本製品のボディーはフルタワーケースで、サイズは、約220(幅)×490(奥行き)×501(高さ)mm、重量は約17.7kgだ。標準的なミドルタワーケースよりも高さや奥行きが一回り大きく、幅も若干大きい。ミドルタワーケースよりも設置スペースが必要になる一方、内部空間が大きい分だけ温度の上昇が緩やかで、きちんとしたエアフローがあればそれも外部に排気できる。搭載可能なケースファンも、ミドルタワーのそれと比べて多い。
本製品では、CPUの冷却に水冷方式を採用している。一般的なヒートシンクとファンによる空冷CPUクーラーでもRyzen 7 5800X(TDP 105W)を十分に冷却できる。ただし、本製品で標準採用している24cm級サイズのラジエーターは、一般的なハイエンド空冷CPUクーラーと同等かそれ以上の冷却性能を実現でき、動作音に関しても抑えることが可能だ。
また、本製品では排気側にラジエーターを設置しているが、先に説明した通り、大型ボディーは内部温度の上昇も緩やかなので冷却性能に対する影響も小さい。さらに、より大型の36cm級となる簡易水冷CPUクーラーへのBTOオプションも用意されている。
標準構成のCPUで採用されているRyzen 7 5800Xは、8コア16スレッドのコアを採用し、アーキテクチャとしては最新のZen3世代となる。定格クロックは3.8GHz、ブーストクロックは最大4.7GHzで、特に32MBという大容量のキャッシュメモリを搭載することで高いパフォーマンスを実現している。
CPUのBTOオプションには、12コア24スレッドのRyzen 9 5900X(3.7GHz〜4.8GHz)と、16コア32スレッドのRyzen 9 5950X(3.4GHz〜4.9GHz)から選べる。よりコア数の多いRyzen 9シリーズは、それだけ発熱も大きい。そこでオプションの36cm級簡易水冷CPUクーラーを選べば、冷却と動作音のバランスが向上する。
評価機のグラフィックスカードは、デュアルファンで2スロット厚のGPUクーラーを搭載したタイプだった。モデル名のG-Tune EP-A-6700 XTが表すように、Radeon RX 6700 XTが軸となる製品で、ここに関するBTOオプションは用意されていない。そのため冒頭で説明したパフォーマンスレンジが、自分自身のニーズにマッチしているのかが製品選択において重要と言える。
ディスプレイとの接続で重要な映像出力端子は、DisplayPort×3、HDMI×1だ。シングルディスプレイであればDisplayPortまたはHDMI、それ以外のD-Sub 15ピンやDVIなどは変換アダプターや変換ケーブルが必要だ。なお、DisplayPort→HDMI変換アダプターが標準で付属しており、例えばHDMI×2でマルチディスプレイを構成したい場合、これを利用すれば実現可能だ(HDMIケーブルは別途必要だが)。
続いて、オリジナルのフルタワーケースを見ていく。
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