「iPhone 13」「13 Pro」を試して分かったこだわりの違い コンピュテーショナルフォトグラフィーはここまで進化した本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/6 ページ)

» 2021年09月22日 20時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

カメラモジュールはどう変わったか

 iPhone 13世代のカメラは前モデルから大きく変わっており、特に13 Proはセンサーサイズ、レンズともに全く新しいスペックになった。

iPhone 13iPhone 13 iPhone 13(左)とiPhone 13 Pro(右)の背面カメラ。iPhone 13は広角と超広角、iPhone 13 Proはさらに望遠を加えた構成だ

 といってもiPhone 13に関しては「iPhone 12 Pro Maxのカメラモジュールから望遠カメラを省略して搭載」という方が分かりやすいかもしれない。このためセンサーサイズも若干大きくなっており、画質面ではプラスになっているはずだ。

 もちろん、A15 Bionicの映像処理プロセスが進歩した分だけ画質や機能は進歩しているので、画質の傾向やシネマティックモードなどのソフトウェアで実現している機能は進歩している。あくまでもカメラモジュールという切り口で捉えた場合の話だ。

 この新しいカメラモジュールを搭載することで、iPhone 13 miniはiPhone 12 miniに比べて0.25mm厚みが増しているため、ベゼルが大きくなったことと合わせて、従来のアクセサリーと互換性がないケースがほとんどなので注意してほしい。

 これはボタンの位置やベゼルのサイズが異なる他のiPhone 13ファミリーでも同じだ。iPhone 13 Proのカメラ部分は、望遠カメラが広角カメラの約3倍の焦点距離(77mm相当)となった。センサーのサイズもより大きくなり、広角カメラは画素数はそのままに画素ピッチがiPhone 12 Pro Maxの1.7μmから1.9μmへと拡大し、レンズの口径比(明るさ)もF1.6からF1.5へと明るくなり、さらにノイズ処理が賢くなって暗所の撮影性能が向上した。

 3倍の望遠レンズは光学式手ブレ補正で明るさはF2.8だ。35mmフィルム用レンズ換算で77mm相当と、iPhone 12 Pro Maxの65mm相当よりもかなり望遠に寄っている。

zoomzoom iPhone 13 Pro Maxの広角カメラ(左)と望遠カメラ(右)で撮影。近づけない被写体に寄れるようになった3倍望遠ズームは屋外では役に立つだろう(クリックすると実寸表示)

 超広角カメラもセンサーサイズが拡大されるとともに、明るさがiPhone 12 Pro MaxのF2.4からF1.8へと大幅に明るくなったが、今回の目玉はレンズ前の2cmまでフォーカスが合うマクロ機能が搭載されたことだ。画角だけを見れば対角画角で120度と変化はないが、全く別物といっていい。

macromacro 超広角カメラには最短2cmまで寄れるマクロ撮影機能を追加。通常の広角カメラで撮影しているときに被写体へカメラをぐっと近づけると、超広角カメラによるマクロ撮影機能に自動で切り替わる。右がマクロ撮影だ(クリックすると実寸表示)

 加えてProラインだけに搭載されるのが空間距離センサーの「LiDAR」だ。これを使い大まかな深度測定をもとに、機械学習処理による被写体分離などと組み合わせてポートレートモードのナイトモード撮影という掛け合わせ処理も行える(LiDARが測定できる2m以内に被写体がなければならない)。

 このように書くと、iPhone 13の内蔵カメラが廉価バージョンと感じるかもしれないが、実はトップクラスのセンサーサイズでレンズもよい。むしろiPhone 13 Pro搭載のカメラモジュールが度を越して? 豪華という方が正しい。

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