「iPhone 13」「13 Pro」を試して分かったこだわりの違い コンピュテーショナルフォトグラフィーはここまで進化した本田雅一のクロスオーバーデジタル(3/6 ページ)

» 2021年09月22日 20時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

A15 Bionic+ソフトウェアでカメラ全体の体験を引き上げる

 iPhone 13も13 Proも同じA15 Bionicを搭載しているため、ソフトウェアで実現されている機能はその多くが共通だ。

 スマートHDR 4、より進んだセマンティックレンダリング、ポートレートモード、Deep Fusionの動作精度、あるいはシネマティックモードなどは、ProではないiPhone 13と同じだ。静止画カメラのApple ProRAWはProモデルのみが対応している。低圧縮高画質のビデオ形式であるApple ProRes(プロ向け動画ワークフローではよく使われている)にも年内のアップデートで対応予定だ。

 中でも静止画の画質はスマートHDR 4が効果的というのが率直な感想だ。AppleはISPの更新でトーンマップやノイズ処理なども改善しているというが、ぱっと見の印象ではスマートHDR 4が一番見た目の変化が大きい。

iPhone 13 Pro iPhone 13 Proで撮影。被写体ごとに現像が最適化されるのは以前と同じだ。ただ、iPhone 13世代では個々の被写体の輝度レンジがそろいすぎていたのが、映像内で描き分けるようになった(クリックすると実寸表示)

 スマートHDR 3との具体的な処理内容の違いは明らかではない。しかし撮影結果の違いは大きく、写真全体のバランスを取っていることが感じ取れた。スマートHDRでは被写体ごとに分離して、それぞれに適した現像パラメータを適用する機械学習処理が行われるが、スマートHDR 3では影の部分を明るく引き上げるなど、全体を見渡したときの明るさバランスが崩れることがあった。

 スマートHDR 4では、映像全体の明るさのバランスが良くなり、また、局所で見た場合にはディテールが深く描かれる。Appleの説明では人物ごと異なる最適化をするようで、肌の色のタイプや日焼けの具合などえお個別に判別しながら動作するという。

 日常的なシーンを撮影しているときにも、随分ぱっと見にキレイな写真と感じることが多いiPhone 13世代のカメラだが、全体の印象を変えているのはスマートHDR 4だろう。

iPhone 13 iPhone 13の超広角カメラで撮影。下のiPhone 12 Proとほぼ同じカメラモジュールのはずだがスマートHDRの効き方が異なる。以前は建物の影や樹々の葉が明るく鮮やかになりすぎて立体感を失っていたが、写真全体のバランスを取るようになった(クリックすると実寸表示)
iPhone 12 Pro こちらはiPhone 12 Proの超広角カメラで撮影(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 スマートHDR 4は構図全体を判別しながら現像の最適化を行うため、こうして建物が主張する構図になると建物自体へとダイナミックレンジを広く割り当てる(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 以前なら苔むした木が明るく鮮やかに持ち上げられていたが、実際の質感に近づいた。人物の描写もコントラストがよりつく方向で調整されている(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 ポートレートモードで撮影。過去のレンズを研究して仮想のポートレートレンズを設計。その光学特性を演算でまねるのがこのモード。複雑な光の中でとりわけきれいな光の風合いが出てくれる(クリックすると実寸表示)

 また超広角カメラでのナイトモードも加わっている。夜景撮影では大変に便利なので、積極的に使いたい。一方で「これは楽しい」と、思わず撮影日程の半日の大多数を使ったのが最新機能のシネマティックモードだ。

iPhone 13 暗い夜中の東京駅前。ISO2000までゲインアップしているため画質的には極めて厳しいが、そんな中でもナイトモードとの掛け合わせでポートレートモードのライティング機能が使える。LiDARでの測距情報をもとに背景との分離を行う(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 こちらもナイトモードとポートレートモードの掛け合わせだが、より明るいレンズでセンサーシフトのある広角カメラだとここまできれいになる(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 夜中の銀座。トーンマッピングが賢くなり、金属や光源が多数入り込む写真がより立体的になっている(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 こちらもトーンマッピングの改善により、夜空に浮かぶ明るいビルの照明などが立体に描写されるように(クリックすると実寸表示)
iPhone 13 77mm相当の望遠カメラはF2.8ながら望遠側に寄ってることもあり、背景を少しぼかして被写体を浮き上がらせるような撮り方も通常モードでやりやすい(クリックすると実寸表示)

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