「iPhone 13」「13 Pro」を試して分かったこだわりの違い コンピュテーショナルフォトグラフィーはここまで進化した本田雅一のクロスオーバーデジタル(6/6 ページ)

» 2021年09月22日 20時30分 公開
[本田雅一ITmedia]
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コンピュテーショナルフォトグラフィーのさらに先

 ということで、iPhone 13のProラインは「従来以上にPro」で、極めて強いこだわりのもとに作られている。

 今回はOLEDのバックプレーンも違い、結果として最大輝度が異なり、iPhone 13 Proシリーズは1000nitsの表示が行える(iPhone 13と13 miniは最大800nits)。ピーク値では1200nitsなので、照明を落とした環境ならば、HDR対応マスターモニター並みの正確なHDR再現が行える。

 それが必要なのかどうかはともかく、そうした最高峰を目指しているのがProラインということなのだろう。

 さて、今回のアップデートは今後も続いていくと予想している。Appleが目標に置いているのが本格的なシステムカメラだとすれば、まだまだ十分に熟成は進んでいないと思うからだ。

 今世代では写真からスタートしたコンピュテーショナルフォトグラフィーをシネマトグラフに拡張するという試みに挑戦したが、これはiPhone 7 Plusから始めていた光学シミュレーション技術を発展させ、処理スループットを上げた先にあった新しい楽しみ、道具だ。

 Appleが本当に「プロ」の道具として、あるいは将来、映像制作のプロを目指す若手クリエイターの萌芽を期待してこの機能を突き詰めていくのであれば、次に期待されるのは、より高い品質のコンピュテーショナルフォトグラフィー技術への進化だ。

 被写体の認識、分離の精度がもっと熟成しなければ、本気の作品作りには使えない。プロのようなクリエイティブを作り出す道具というだけではなく、さらに進んで本当にプロの素材に使える領域にまで質を高める。

 恐らく次は、トランジスタ密度が大きく向上するTSMCのN3プロセスが使えているはずだ。コンピュテーショナルフォトグラフィーには、まだまだ先のストーリーがあることに期待するとともに、ライバルのGoogleの出方にも注目していきたい。

撮影協力

 片岡三果 写真画家
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 橋本聖子
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