ファーウェイ(華為技術日本)が7月から9月にかけて、新製品を相次いで投入した。新製品はノートPC、タブレット、ウェアラブルデバイス、ディスプレイと、同社の主力であるスマートフォンは見当たらない。
ノートPCやそれに関連する製品を積極的に投入する背景には何があるのだろうか。また、「HUAWEI P50シリーズ」を含むハイエンドスマホを日本で投入する予定はないのだろうか。デバイス部門の日本・韓国リージョンプレジデントを務める楊涛(ヤン・タオ)氏に話を聞いた。
―― 今回発表した新製品群の全体的な狙いを改めて教えてください。
楊氏 7月に行った発表会でも話しましたが、今回の新製品群は「オールスマートライフ」をテーマに掲げています。
弊社は従来、個々のハードウェア製品のイノベーション(革新)やユーザー体験(UX)を重点に置いてきました。しかし、今後はシナリオ(製品が使われる場所や状況)をベースとして、異なるタイプの端末が連携した際のユーザー体験を高めることに軸足を移していきます。具体的には「スマートオフィス」「スマートトラベル」「スマートホーム」「スポーツ&ヘルス」「エンターテインメント」の5つのシナリオをベースとして、デバイスをスムーズに連携させることによって、今までにない体験をもたらすことを目指します。
今回発表した製品群は、それぞれのシナリオにおいてユーザー体験をより高めるものであるとご理解ください。スマートオフィスというシナリオなら、MateBook X Pro、MatePad 11とMateViewを連携させると、画面やファイルの共有を素早くスムーズに行えます。これにより、仕事の生産性を高められるわけです。
―― 今回は、ノートPCに加えてディスプレイを投入したことに驚きました。これは日本のPC市場へのコミットメントを強化するということでしょうか。
楊氏 スマートオフィスのシナリオを考えた場合に、それに関連した製品、例えばオーディオ(ワイヤレスイヤフォンなど)、タブレット、PC、ディスプレイをそろえることで、ユーザー体験を高めていきます。
ディスプレイは今まで「PCの周辺機器」というイメージが強かったと思うのですが、弊社が発表したMateViewは、より賢くなっています。PCだけではなく、スマホやタブレットとも連動させることができます。(MateViewがない場合でも)MateBook X ProとMatePad 11にも同様の(画面共有)機能を備えていますし、ファイルを双方向でやりとりできます。複数のデバイスを同時に使う場合の利便性が高まるのです。
―― 他国と比べると、日本のPC市場は国内メーカーが強いことが特徴です。PC関連の製品を強化するということは勝機があるということなのでしょうか。
楊氏 おっしゃる通り、PCという観点では(日本市場は)日本メーカーが非常に強い環境にあります。また、お客さまが(PCを選ぶ上で)日本メーカーのものを優先、重要視する傾向にあることも事実です。
日本メーカーのブランドは、製品の品質はもちろんですが、革新性やサービスの良さといった積み重ねを経て、常にユーザーに良い体験をもたらしてきたことによって確固たる地位を築いてきました。だからこそ、中国市場でも日本メーカーのブランドに対する評判は高いのです。
日本の消費者に目を移すと、製品自体はもちろん、性能や対面サービスにおいても高い品質レベルを求めています。私たち(ファーウェイグループ)のブランディングを含めた戦略面において、日本市場はちょうど良い市場であると考えています。私たちが持つ製品群の強みを存分に発揮できる市場であるともいえます。
高品質かつコストパフォーマンスの良い製品を投入し、さまざまな体験を提供することで(日本市場に対して)根気強く取り組んでいきたいと思います。
製品を強化するだけではなくて、ブランド力を高めつつ、店頭を始めとする販売体制や、サポート体制もしっかりと整えていきたいと思います。
―― 海外市場に目を向けると、PCやその周辺機器のラインアップがより充実しています。例えば「MateStation S」(デスクトップPC)を日本に投入する予定はないのでしょうか。
楊氏 どの製品を日本市場に投入するかどうかは、慎重な見極めを行っています。市場調査をしっかりと実施した上で、品質を含む(日本市場において)製品に競争力があるかどうかを見極めています。日本の消費者のニーズを満たすことが最優先です。
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