2つのポイントを短い言葉で表せば、「帯域」と「セッション数」が重要ということになる。「帯域」は単位時間あたりの通信量でを示すもので、セッション数とは同じタイミングで発生する最大の同時通信数である。
学校の学習において必要な帯域を考えてみよう。
学校では、先生の指示に従って多くの児童/生徒が同時に通信を行う。そのため、必要な帯域は同時に利用する端末数(児童/生徒数)の“かけ算”で考えればよい。例えば、YouTubeの720p動画を一斉に見るなら「端末数×2.5Mbps」で算出すればOKだ。
必要なセッション数も同じ考え方で計算すればいい。ただし、最近のクラウドサービスは1つのサービスで複数のセッションを用いることも珍しくなく、端末1台で100を超えるセッションが必要となるケースもある。
これを踏まえて、ネットワークにおいて気を付けるべきポイントを考えればよい。ただし、帯域の観点とセッション数の観点では、若干異なる面がある。
帯域の観点では、ネットワークを構成する全ての要素がボトルネックとなりうる。校外とつながるネット回線、ネット回線と直接つながるルーター類、その下にあるプロキシ/UTM(統合脅威管理)装置、校内に接続を巡らせるスイッチや無線LANアクセスポイントのいずれも、全体の足を引っ張りうるのだ。
一方で、セッション数の観点では、見るべきポイントは「ネット回線」「ルーター」「プロキシ/UTM装置」の3点に絞られる。スイッチやアクセスポイントはボトルネックとなりづらい。
例えば、児童/生徒数500人の学校で「1台当たりの帯域は最大2.5Mbps、セッション数は最大110」とすると、必要なネットワーク帯域は1.25Gbps、セッション数は5万5000となる。
しかし、現在の公立小中学校のネットワーク整備状況を鑑みると、ルーターを境にして校内側では1Gbps超のネットワーク環境に対応していたとしても、外部側が1Gbps超の通信に対応していないケースが多い。校内側ネットワークも、GIGAスクール構想以前に構築した場合は1Gbps超の通信に対応する設備となっていないことがある。
このような場合、500人の児童/生徒が一斉にYouTubeにアクセスして動画を見ようとすると、通信が急に遅くなってしまったり、エラーが出て通信ができなかったりということが発生してしまう。
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