このように、学校におけるネットワーク構築には気を付けるべきポイントが多い。NECは、それぞれのポイントにおいて解決策をしっかり用意しているという。
まず、無線LANアクセスポイントについてだが、先ほども触れた通り、家庭用Wi-Fiルーターでは代用が難しい。「なら法人向け(業務用)なら何でも大丈夫なの?」かと聞かれたら、実はそうとも限らないという。
GIGAスクール構想が始まる前に、NECは法人向け無線LANアクセスポイントをかき集めて、40人の同時接続に耐えられるかどうか検証したという。自社のものはもちろん、他社のものも一緒に検証した結果、満足の行くパフォーマンスを発揮できるアクセスポイントは“一握り”しかなかった。
そこで同社は、学校への導入を想定した高性能アクセスポイント「UNIVERGE QX-W1130」を開発した。QX-W1130は最新のWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)規格の無線LANに対応した他、最大接続クライアント数を従来モデルの約2倍となる1536台とした。端末との通信を自律的に最適化する「RF最適化エンジン」も搭載し、多数接続時も通信品質を維持しやすくなったという。日本の環境に合わせて、動作環境気温を−10〜50度、環境湿度を10〜90%としている。
ルーター回りについては、先述の通りポート転送時の最大セッション数がボトルネックとなりうる。そこでNECは、業務用VPNルーター「UNIVERGE IXシリーズ」において最大25万セッションまで処理できるようにした。これは他社の同等品と比べて2〜6倍の性能だという。
UNIVERGE IXシリーズではデータの転送(通信)パフォーマンスの高さにもこだわっており、「UNIVERGE IX2310」では、最大10Gbpsで通信できる「10GBASE-T」にも対応している。
ネット回線については、集約型を取る自治体が意外と多い。そこで、NECではローカルブレイクアウトに対応するネットワークを構築することを推奨している。帯域やセッション数をたくさん消費するクラウドサービスの通信だけでも直接通信に切り替えれば、センターにおける通信負荷は大幅に軽減される。
先述のUNIVERGE IXシリーズはローカルブレイクアウトにも対応しており、やりとりする通信の内容に応じて「直接接続のインターネット回線」と「自治体の回線」を振り分けてくれる。同社子会社であるNECプラットフォームズが提供しているクラウドサービス「NetMeister」を活用すれば、複数の拠点(学校)におけるローカルブレイクアウトの設定を一括して行うことも可能だ。
ちなみに、NetMeisterでは、ルーターの保守/管理から設定までをクラウド上から行える。学校ごとのネットワーク構成や端末の状況を可視化することもできる。
後編では、公立学校で導入が進んだ「電子黒板」や「大型ディスプレイ」に関する動向についてお伝えする。楽しみにしていてほしい。
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