2021年のアキバ自作街は「警戒」に終始したアキバ2021年まとめ【前編】(3/4 ページ)

» 2021年12月29日 19時00分 公開
[古田雄介ITmedia]

LHR版GeForceとともに「NVIDIA A4000」が存在感を放つ

 新しいGPUの登場の軌跡を追いかけても、2021年はマイニングと完全に切り分けるのが難しい。

 上半期に目立っていたのは2月末に登場した「GeForce RTX 3060」だ。2020年12月に発売されたRTX 3060 Tiの下位にあたるGPUで、意図的にマイニング効率を下げた仕様としていることから、発売当初は他のカードが売り切れる中でRTX 3060カードだけ在庫がそろっている光景が各店で見られた。しかし、マイニング制限を解除するプログラムが出回ったため、この差異化もすぐに瓦解してしまう。

TSUKUMO eX. TSUKUMO eX.の棚にRTX 3060カードだけ並んでいた。2月26日撮影

 解除不能なLHRが実装されるようになったのは、前述のGeForce RTX 3080 Ti搭載カードが登場してからだ。同GPUが登場した2週間後には「GeForce RTX 3070 Ti」搭載カードも売り場に並ぶようになり、GeForceのハイエンドクラスの供給量と選択肢の増加に貢献するようになる。当時あるショップは「組織的な転売ヤーが買わなくなったのが大きいかなと思います。発売時に並ぶ人は減りましたが、純粋にその人数分が売れている感覚です。正常な売れ方ですね」と話していた。

ドスパラ秋葉原本店 ドスパラ秋葉原本店のRTX 3080 Ti搭載カードの価格表。6月4日撮影
パソコン工房 秋葉原BUYMORE店 パソコン工房 秋葉原BUYMORE店の初回入荷価格表。6月11日撮影

 一方で、NVIDIAは“非LHR”のヒットGPUも送り出している。7月に登場したプロ向けGPUである「NVIDIA RTX A4000」で、価格は13万円弱だ。同じ頃に価格が高騰しきっていたGeForce RTX 3070搭載カードは10万円〜14万円となっており、プロ向けながらコンシューマー向けにも匹敵するコストパフォーマンスの高さも相まって、大きな注目を集めた。

 当時オリオスペックは「いろいろなベンチマーク結果でゲームでも使えると評価されているみたいで、法人より個人に売れている印象です」と語っている。同様の反応は12月に登場した「NVIDIA RTX A2000」(6万円台後半)でもあり、マイニング需要も重なって瞬く間に売り切れている。

NVIDIA RTX A4000 NVIDIA RTX A4000の入荷を知らせるオリオスペックのチラシ。7月9日撮影
NVIDIA RTX A2000 11月末から12月初旬にかけて出回ったNVIDIA RTX A2000。オリオスペックで12月3日に撮影

 対するRadeon陣営は、3月に投入した「Radeon RX 6700 XT」搭載カードを皮切りに、8月に前述のRadeon RX 6600 XT、10月に「Radeon RX 6600」とRadeon 6000シリーズを厚くしている。3GPUともマイニング効率が注目されて、登場してから過熱気味といえる人気を得ている。

TSUKUMO eX. RX 6600XTカードについて、手書きで購入制限を伝えるTSUKUMO eX.の棚。9月3月撮影

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