4月末、マイニングの波は大容量HDDを襲うようになる。ストレージを使ってマイニングできる暗号資産の情報が広まったことがきっかけと言われており、最初にターゲットにされたのはNAS向けやエンタープライズ向けの10TB以上のモデルだった。
当時を振り返り、オリオスペックは「法人向けの組み込みでは(当時最大容量の)18TBが人気でしたが、全然入ってこなくて、どうにか手に入る16TBで組んだ記憶があります」という。
もともとあまり大量の在庫を置かないモデルだったために、多くのショップで瞬く間に品切れとなり、8TBや6TBまで対象とされるようになっていった。また、2TBや1TBのSSDも狙われるようになる。
グラフィックスカードを使ったマイニングと比べるとブームは一過性だった様子で、週単位で波が来ては引き、また急に波が来て短期間で引き、というパターンを数度繰り返した後に落ち着いた。
HDDマイニングが過去のものとなった12月下旬、最大容量を更新する20TBモデルがSeagateから登場して話題を集めている。NAS向けの「IronWolf Pro ST20000NE000」と、エンタープライズ向けの「Exos X20 ST20000NM007D」で、価格は7万3000円弱と9万円弱だ。
SSDは9月からマイニングとは別の波が起きている。「PlayStation 5」(PS5)がシステムソフトウェアのアップデートにより、M.2 NVMe SSDの増設に公式対応したのが理由だ。人気の中心にいたのは、Western Digital「WD BLACK SN850」シリーズのヒートシンク付きモデルだ。2021年4月に登場したシリーズで、2TBと1TBモデルは売り切れが続出した。
その後も、ヒートシンク付きのNVMe SSDが各社から登場し、PS5対応をうたうSSD用ヒートシンクも売り場に並ぶようになった。11月下旬、あるショップは「増設需要はそれなりにありますが、9月の熱は既になく、多くのメーカーが時機を逸した感がありますね」とそっけなくつぶやいていた。
後編では、CPUのシェア争いや加熱したDDR5メモリの人気ぶりなどをまとめたい。
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