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PCI Express 6.0の仕様策定が完了 転送速度は16レーンで最大毎秒256GBに

» 2022年01月14日 07時00分 公開
[ITmedia]

 PCI-SIGは1月11日(米国東部標準時間)、PCI Expressの次世代規格「PCI Express 6.0」の仕様策定が完了したと発表した。2019年5月に仕様が固まった「PCI Express 5.0」の後継となる。

PCI-SIGが想定するPCI Express 6.0の主な用途。HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)やAIなど、大量のデータを処理しなければならない用途が並ぶ PCI-SIGが想定するPCI Express 6.0の主な用途。HPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)やAIなど、大量のデータを処理しなければならない用途が並ぶ

 PCI Express 6.0では、データ転送速度を1レーン当たり64GT/s(Giga-Transfer per Second)まで引き上げた。これはPCI Express 5.0(32GT/s)の2倍に当たる。グラフィックスカードの接続で一般的な「×16」構成の場合、最大で毎秒256GBに達する。そして、これまでのPCI Expressと同様に、完全な後方互換性も維持している。

PCI Expressの世代ごとに見たデータ転送速度の推移。1世代進むごとに2倍となっている PCI Expressの世代ごとに見たデータ転送速度の推移。1世代進むごとに2倍となっている

 前世代の2倍の性能を達成するために、変調方式を一新した。従来は信号電圧の高低に1bitの0か1を割り当てるNRZ(Non Return to Zero:非ゼロ復帰)方式を採用していたが、今回は信号電圧を4段階とし、それぞれに2bitのデータを割り当てるPAM4(Pulse Amplitude Modulation 4:4値パルス振幅変調)方式を採用した。

 これで、サンプリング周波数を上げることなく、データ転送速度を2倍に引き上げることが可能になった。また、エンコードにはFlit(Flow Control Unit)と呼ぶ方式を使っている。

PAM4では、4段階の信号電圧それぞれに2bitのデータを割り当てる PAM4では、4段階の信号電圧それぞれに2bitのデータを割り当てる

 しかし、PAM4では4段階の信号電圧の違いを識別しにくいため、エラーが起こりやすい。そこで、エラーが発生することを見越して誤り訂正符号をデータに付け加えて送信するFEC(Forward Error Correct:前方誤り訂正)を採用した。

 この方式なら、エラーが発生したとしても再送を求めることなく、誤り訂正符号からデータを復元すれば良いので、データ転送速度を維持しやすい。さらに、データ転送時のエラーを検出するCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)も利用する。

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