レノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad」のフラグシップモデルの1つ「ThinkPad X1 Carbon」は、2022年に登場するGen 10(第10世代、2022年モデル)で登場から10周年を迎える。
先日、その1つ前の世代であるGen 9(第9世代、2021年モデル)の外観を中心とするレビューをお伝えした。今回はそのパフォーマンスをベンチマークテストなどを通してチェックしていく。
今回レビューしているのは、ThinkPad X1 Carbon Gen 9の「20XW-0013JP」という固定構成モデルだ。税込み直販価格は25万2000円で、主なスペックは以下の通りとなる。
2月16日現在、直販サイトではこのモデルのメインメモリを16GBとした上で、SSDをOPAL(自己暗号化)対応にした固定構成モデル「20XW-S0C500」が税/送料込みで18万6780円で販売されている。「メインメモリは少しでも多い方がいい!」という人は、チェックしてみてほしい。
今回レビューしているX1 Carbonには、SK hynix製のPCI Express 3.0接続のSSD「HFS256GDE9X081N」が搭載されている。メーカーのSSDの一覧にない製品で、どうやら「SKhynix PC711」をLenovo向けにカスタマイズしたモデルのようである。
このSSDにスペックが近似していると思われるカタログモデルの「HFS256GDE9X073N」は、シーケンシャル(連続)リードが毎秒3300MB、シーケンシャルライトが毎秒2200MBという性能を備える。
メーカーのWebサイトに記載のないSSDではあるが、ひとまず「CrystalDiskMark 8.0.4」を使って読み書きの速度を計測することにした。デフォルト設定のまま行った計測結果結果は以下の通りだ。
これだけの速度が出ていれば、普段使いも快適である。「もうちょっと速い方がいいのでは?」と思う人もいるかもしれないが、高速なSSDは消費電力が大きくなり、発熱もしやすい。モバイルノートPCで使うのであれば、これだけの速度が出れば十分だろう。
続けて、普段使いにおけるパフォーマンスをチェックする。
まず「CINEBENCH R23(Microsoft Store版)」を使ってCPUのパフォーマンスを計測してみた。結果は以下の通りだ。
定格の2.4GHzにおけるシングルコア性能をプリセットの結果と見比べると、4世代前のデスクトップ向けのハイエンドプロセッサよりも結果は良好だ。
次に「PCMark 10」を使って主にビジネスユースにおける普段使いのパフォーマンスを確かめよう。結果は以下の通りだ。
いずれも申し分のない性能を発揮できている。PC USERで過去に行ってきた各種レビュー記事を見返すと、モバイルノートPCでもここまで快適に使えるようになったのだなと感慨を覚える所である。
とりわけ、X1 CarbonのGen 5(2017年モデル)やGen 8(2019年)との比較を思い出すと、特にDigital Content Creationのスコアの伸びは特筆すべきものとなっている。しかし、Productivityのスコアは少しながら落ち込んでいる。
写真や動画を扱う機会が多い人にとっては、世代を重ねるごとに性能アップしているのは確かなので、良い意味で“悩ましい”。間もなく第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)を搭載するGen 10が登場する可能性があることを考えると、なおさらに買い換えを迷ってしまうかもしれない。
一方で、あくまでスコアベースの話だが、表計算やワープロといったビジネスユースでは過去世代から大きく性能が向上するわけではない。ただしディスプレイのアスペクト比が16:10となったGen 9では、表計算シートやワープロで作る文章の表示領域が過去世代よりも広がった。スコアには現われない部分で快適さは増している。
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