レノボ・ジャパンのノートPC「ThinkPad」は、2022年でブランド設立から30周年を迎える。そのフラグシップモデルの1つが「ThinkPad X1 Carbon」だ。2012年に初代が登場したThinkPad X1 Carbonは、重要な特徴として「14型ディスプレイ」「カーボン天板」「クラムシェル」の3つの要素を備えており、2022年に登場するGen 10(第10世代、2022年モデル)まで貫かれている。
そんなThinkPad X1 Carbonだが、Gen 10の1つ手前であるGen 9(第9世代、2021年モデル)では大きな変化があった。ディスプレイのアスペクト比(長辺と短辺の比)が16:10になったのだ。これは、基本的なボディー構造を引き継いだGen 10も同様である。
そこで、2回に分けてThinkPad X1 Carbon Gen 9のレビューをお伝えする。今回は前編として、主に外観から分かる“変更点”をチェックしていこう。
現在のThinkPadには、あらかじめ仕様の決まっている「固定構成モデル」と、仕様を自分で選択できる直販限定の「カスタマイズ(CTO)モデル」が用意されている。今回レビューするのは、ThinkPad X1 Carbon Gen 9の「20XW-0013JP」という固定構成モデル(税込み直販価格25万2000円)で、主な仕様は以下の通りとなる。
CPUのCore i5-1135G7はモバイル向け第11世代Coreプロセッサ(開発コード名:Tiger Lake)の1つとなる。今回レビューするモデルは「Intel Evoプラットフォーム」に準拠しているため、パームレストにはそれを示すエンブレムシールが貼り付けられている。
なお、ThinkPad X1 Carbon Gen 9のCTOモデルには「Intel vProプラットフォーム」対応モデルも用意されている。大企業向けの管理/セキュリティ機能が必要な場合は、CTOモデルのカスタマイズでvPro対応CPUを選択しよう。
先述の通り、ThinkPad X1 Carbon Gen 9はアスペクト比16:10の14型ディスプレイを搭載している。アスペクト比16:9の14型ディスプレイを搭載するGen 8(第8世代、2020年モデル)とボディーサイズを比べると、以下の通りとなる。
ディスプレイが少しだけ縦長になったこともあり、奥行きが少し大きくなった一方で、幅と厚さは減っている。幅が縮小したことは、後で重要なポイントとなるので覚えておこう。
通常、ディスプレイが縦長になると、奥行きがその分だけ増しがちである。しかし、ThinkPad X1 Carbon Gen 9ではベゼル(額縁)の面積を削減することで奥行きの増加を最小限に抑えている。
アスペクト比が16:9から16:10になったことで、Webサイト、文章やスプレッドシートの閲覧と作成が快適になった。これは事実である。しかし、それによって思わぬ部分に“しわ寄せ”が出ている。
ThinkPadは原則として「フルサイズ」のキーボードを搭載している。ストローク(押し込み)の深さはさておき、一般的なデスクトップPC用キーボードと同じ感覚で指を運べることがフルサイズキーボードのメリットである。
しかし、「ThinkPad X13」などX1 Carbon以外の「ThinkPad Xシリーズ」では、日本語配列キーボードを選択すると右端部のキーのサイズが縮小される。「Xシリーズが欲しいけれど、一部でも文字キーが小さくなるのは嫌だ」と考える人が取れる選択肢は以下のいずれかである。
ところが、ThinkPad X1 Carbon Gen 9では、日本語配列キーボードの右端部の文字キーのサイズが縮小された。よって、日本語配列派の人は「キーの縮小が嫌だからX1 Carbonにしよう」という回避策が取れない。先述の“しわ寄せ”はこのことである。
「文字キーの縮小は絶対に嫌だ!」という人は、妥協してこの日本語配列キーボードを受け入れるか、CTOモデルでUS配列キーボードを選択するしかない。筆者を含む一部の人にとって、これは大変悩ましい問題である。
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