既報の通り、Microsoftは「Windows 11」のInsider Previewにおいて、動作要件を満たさないPCのデスクトップ画面に透かし(ウォーターマーク)を表示する試みを行った。
この透かしについて、表示が見送られる可能性が出てきた。
動作要件を満たさない旨を告知する透かしは、Insider PreviewのBeta(β)チャネルとRelease Preview(先行リリース)チャネルで公開された「累積更新プログラム(KB5011563)」を適用すると表示される。
この更新を適用すると、日本語表示の場合は「システム要件を満たしていません。[設定]に移動して詳細を確認してください」というメッセージがデスクトップ画面の右下に表示される。また、設定画面にも要件を満たしていない旨の警告が出るようになる。
この累積更新プログラムは、3月28日(米国太平洋時間)からInsider Programに参加していないユーザー(デバイス)に対しても「プレビュー版」(任意適用のオプション更新)として配信されている。Insider Preview版から少し更新があったようで、このプレビュー版を適用するとWindows 11のビルド番号が「22000.593」になる。
先に透かしが表示されていたPCに対して新しいKB5011563を適用した所、この透かしが消滅していることが確認できた。合わせて、設定画面の警告も表示されなくなった。「適用後の再起動が原因かもしれない」と思い、適用完了後にさらに再起動をしてみたが、やはり透かしと警告は消えたままだった。
まだ断定はできないが、KB5011563における要件を満たさない場合の透かし表示は見送られることになりそうだ。
この透かしや警告の試行は、要件を満たしたデバイスでWindows 11を使ってほしいというメッセージをどのように伝えるかというMicrosoftの“迷い”を表しているような気もする。
Windows 11は、OSのコア部分のベースはWindows 10と同一である。ただし、あくまでベースが同じなだけであって、実際はさまざまな点において改良が施されている。また、“物理的な”セキュリティの向上を目的として「TPM 2.0チップ」「Secure Boot(セキュアブート)」を必須化し、サポートCPUも比較的新しい世代のものに絞り込んでいる。
これらの要件強化は「PCの買い換えを促進するためでは?」といぶかる声もあるが、古い世代のハードウェアにはソフトウェアの更新では対応しきれない(対応すると動作上の制約が大きくなる)脆弱(ぜいじゃく)性も報告されている。セキュリティリスクを軽減する意味合いも込めて要件を厳しくしているという側面もあるのだ。
Windows 10のサポートは、2025年をもって終了することになっている。早かれ遅かれPCの買い換えを検討しなければならないことには変わりない。Windows 11の動作要件を満たさないPCでは、Windows 10を利用しつつ、Windows 11の動作要件を満たすようなパワーアップを行うかPC自体の買い換えを検討した方が良いだろう。
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