冒頭で触れた通り、Surface Laptop Studioのコンシューマー向けモデルは5つ用意されている。今回の評価機の主なスペックは以下の通りだ。
薄型のフォームファクタに無理なく収まる範囲内で、クリエイティブ適性を高めることを考えたスペックとなっており。写真編集や映像編集にも十分活用できるだろう。
最近のアドビのクリエイティブツールは、GeForce RTXシリーズの機能を積極的に活用している。そのこともあり、GeForceシリーズの中でも、エントリー向けのGeForce MXシリーズや旧世代のGeForce GTXシリーズではなく、GeForce RTX 3050 Tiを搭載している点は評価できる。AI推論を活用した超解像処理や特殊効果、エンコード/デコード/プレビュー処理の高速化など、さまざまな場面でその恩恵を得られるはずだ。
ここからは、各種ベンチマークテストの結果を見ていこう。
「CINEBENCH R23」や「3DMark」のスコアを見ると、Core i7-11370HとGeForce RTX 3050 Ti Laptopを組み合わせた他社のノートPCと比べてスコアが少しだけ低めになっている。その代わり、高負荷時でも動作音は抑えられている。恐らく、ギリギリまでパフォーマンスを引き出すことよりも、静音性など快適な使用性を重視したチューニングになっているのだろう。
それでも、「PCMark 10」や「UL Procyon Benchmark Suites」のVideo Editing(動画編集)のスコアを見れば分かる通り、Core i7-9750H(2.6GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド)とGeForce GTX 1650を搭載する旧世代のゲーミングPC(メインメモリ32GB、PCI Express 3.0x4 SSD)よりも性能は確実に上回っている。パフォーマンスの高さ、クリエイティブ適性の良さはしっかり実証されている。ゲームも、描画負荷が特別に高いタイトルでなければ標準的な画質でプレイできるだろう。
「じゃあ発熱はどれくらいなの?」という点が気になる。さすがに、高い負荷をかけるとキーボードやパームレストがじんわりと熱をもってくる。しかし、テストを行った時期(3月上旬)では、「暖かくてちょうどいいくらい」という感じだった。
ただし、Surface Laptop Studioの排気口は、左右側面にある。マウスを併用する場合などは、ボディーの左右から出てくる熱風が少し気になるかもしれない。
Surface Laptop Studioは、直販価格で税込み20万9880円から用意されている。しかし、それは外部GPUを搭載しないCore i5モデルで、外部GPUを備えるCore i7モデルは26万7080円から(メインメモリ16GB+SSD 512GB)となる。最上位構成(メインメモリ32GB+SSD 2TB)だと39万280円にもなる。全モデル共にペンは別売だ。
クリエイティブ適性もエンターテイメント適性も高い“万能モデル”とはいえ、純粋なクリエイティブの道具として見ると、割高感は否めない。購入に値するかの判断は、洗練されたデザインや上質感、3スタイルでマルチに使える点といった“付加価値”にどれだけ魅力を感じるかということがカギになるだろう。
クリエイターというよりはガジェット好きのギークにウケそうな製品であるが、最上位モデルであればクリエイティブの実用性は十分にあるので、金銭的に余裕のある裕福なクリエイターならば、サブPCとして検討する価値は十分にあるだろう。
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