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プレミアムな2in1モデル「Surface Laptop Studio」は誰のためのPC? 試して分かったこと(3/3 ページ)

» 2022年04月08日 14時00分 公開
[マルオマサトITmedia]
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Core i7モデルはGeForce RTX 3050 Ti Laptop GPUを搭載

 冒頭で触れた通り、Surface Laptop Studioのコンシューマー向けモデルは5つ用意されている。今回の評価機の主なスペックは以下の通りだ。

  • CPU:Core i7-11370H(3.3GHz〜4.8GHz、4コア8スレッド)
  • メインメモリ:32GB(LPDDR4x)
  • ストレージ:1TB SSD(PCI Express接続)
  • 外部GPU:GeForce RTX 3050 Ti Laptop(グラフィックスメモリは4GB)

 薄型のフォームファクタに無理なく収まる範囲内で、クリエイティブ適性を高めることを考えたスペックとなっており。写真編集や映像編集にも十分活用できるだろう。

 最近のアドビのクリエイティブツールは、GeForce RTXシリーズの機能を積極的に活用している。そのこともあり、GeForceシリーズの中でも、エントリー向けのGeForce MXシリーズや旧世代のGeForce GTXシリーズではなく、GeForce RTX 3050 Tiを搭載している点は評価できる。AI推論を活用した超解像処理や特殊効果、エンコード/デコード/プレビュー処理の高速化など、さまざまな場面でその恩恵を得られるはずだ。

CPU-Z 「CPU-Z」を使ってCPUの状況をチェック。CPUはCore i7-11370Hで、4コア8スレッドのCPUとしては高いパフォーマンスを発揮する
GPU-Z 続けて「GPU-Z」でGPUの状況をチェック。GeForce RTX 3050 Ti Laptopは、AI推論性能に特化した「Tensorコア」を内包しており、推論処理においてGeForce GTXシリーズに対する優位性がある
CrystalDiskInfo 「CrystalDiskInfo」でSSDの情報を確認すると、評価機ではSK Hynix製のモジュールを搭載していることが分かった
CrystalDiskMark 「CrystalDiskMark」でSSDのパフォーマンスをチェック。PCI Express 3.0 x4接続としては読み出しも書き込みも高速な部類に入る

クリエイティブでのパフォーマンスは上々

 ここからは、各種ベンチマークテストの結果を見ていこう。

 「CINEBENCH R23」や「3DMark」のスコアを見ると、Core i7-11370HとGeForce RTX 3050 Ti Laptopを組み合わせた他社のノートPCと比べてスコアが少しだけ低めになっている。その代わり、高負荷時でも動作音は抑えられている。恐らく、ギリギリまでパフォーマンスを引き出すことよりも、静音性など快適な使用性を重視したチューニングになっているのだろう。

 それでも、「PCMark 10」や「UL Procyon Benchmark Suites」のVideo Editing(動画編集)のスコアを見れば分かる通り、Core i7-9750H(2.6GHz〜4.5GHz、6コア12スレッド)とGeForce GTX 1650を搭載する旧世代のゲーミングPC(メインメモリ32GB、PCI Express 3.0x4 SSD)よりも性能は確実に上回っている。パフォーマンスの高さ、クリエイティブ適性の良さはしっかり実証されている。ゲームも、描画負荷が特別に高いタイトルでなければ標準的な画質でプレイできるだろう。

CINEBENCH R23のスコア CINEBENCH R23のスコア
PCMarkスコア比較 PCMark 10のスコアを旧世代のゲーミングノートPCと比較してみる。クリエイティブ系テスト(Digital Content Creation)を始めとして、Surface Laptop Studioの方がスコアが良い
バッテリー持ち PCMark 10の「Modern Office Battery Life」の結果。残量1%になるまで11時間44分動作した
3DMark 3DMark(Fire Strike)のスコア
3DMark 3DMark(Time Spy)のスコア
FF14ベンチマーク 「FINAL FANTASY XIV:暁のフィナーレベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を1920×1080ピクセル、標準品質(ノートPC)、フルスクリーンでテストした結果。最高評価の「非常に快適」を得られた
FF14ベンチマーク FF14ベンチマークの画質を最高品質にすると、2番目に高い評価の「とても快適」になる

 「じゃあ発熱はどれくらいなの?」という点が気になる。さすがに、高い負荷をかけるとキーボードやパームレストがじんわりと熱をもってくる。しかし、テストを行った時期(3月上旬)では、「暖かくてちょうどいいくらい」という感じだった。

 ただし、Surface Laptop Studioの排気口は、左右側面にある。マウスを併用する場合などは、ボディーの左右から出てくる熱風が少し気になるかもしれない。

Procyon(Video) PCMark 10よりもプロフェッショナルユースに寄せたテストである「UL Procyon Benchmark Suites」のVideo Editing(動画編集)テストのスコア。左のが本製品のスコアで、右の旧世代ゲーミングPCよりも良好である
Procyon(Photo) 同じくProcyon Benchmark SuitesでPhoto Editing(写真編集)テストを行った際のスコア。左は本製品、右は旧世代ゲーミングPCのスコアなのだが、本製品ではバッチ処理のテストでエラーが出て総合スコアが「0」になってしまった。スコアが出たレタッチテストでは、両製品のスコアが近接していることが分かる
温度 室温18度の環境でFF14ベンチマーク(標準品質)の実行終盤に「FLIR ONE」で温度を計測した結果。パームレスト部分は最高36.3度で平熱程度に収まっている一方で、両サイドの排気口からは最大42.5度の熱風が吹き出していた

上質感が際立つプレミアムな2in1 PC

 Surface Laptop Studioは、直販価格で税込み20万9880円から用意されている。しかし、それは外部GPUを搭載しないCore i5モデルで、外部GPUを備えるCore i7モデルは26万7080円から(メインメモリ16GB+SSD 512GB)となる。最上位構成(メインメモリ32GB+SSD 2TB)だと39万280円にもなる。全モデル共にペンは別売だ。

 クリエイティブ適性もエンターテイメント適性も高い“万能モデル”とはいえ、純粋なクリエイティブの道具として見ると、割高感は否めない。購入に値するかの判断は、洗練されたデザインや上質感、3スタイルでマルチに使える点といった“付加価値”にどれだけ魅力を感じるかということがカギになるだろう。

 クリエイターというよりはガジェット好きのギークにウケそうな製品であるが、最上位モデルであればクリエイティブの実用性は十分にあるので、金銭的に余裕のある裕福なクリエイターならば、サブPCとして検討する価値は十分にあるだろう。

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