ここからは、クリエイターが利用するアプリや作業を使ったベンチマークテストを実施していく。
まず、2D/3Dコンテンツ制作ツール「Blender」をベースとするCPU/GPUのテストツール「Blender Benchmark」を使って各GPUのパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオで1分間に生成できるサンプル(オブジェクト)の数をチェックする。結果は以下の通りだ。
Blender Benchmarkでは、CPUとGPUを明示的に指定してレンダリング処理を割り振ることができる。今回はGPUを使ったレンダリング処理をテストしたが、同じ単位時間であればGeForce RTX 3090 Tiの方が多くのオブジェクトを処理できることが分かる。
続けて、「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K(3840×2160ピクセル)動画を、「Adobe Premiere Pro」で30分ほどにまとめて書き出すのに必要な時間を比較しよう。エンコードはGPUを利用するように指定している。
結果は以下の通りだ。
GeForce RTX 3090と比べると、GeForce RTX 3090 Tiは13〜28秒ほど早く処理を完了している。「わずか30秒程度」と見るか「30秒近くも早い」と見るかは人次第だろうが、高解像度の動画を書き出す機会が多い場合は、GeForce RTX 3090 Tiの方がベターといえるだろう。
今回、Ryzen Threadripper 3970Xを搭載する自作PCでGeForce RTX 3090 Tiをテストしてきた。結果を見れば分かる通り、用途によってはRyzen Threadripper 3970X+GeForce RTX 3090 Tiは真価を発揮しきれないことが分かった。
テスト結果の通り、Ryzen Threadripperのように旧型であっても他に選択肢のないCPUとの組み合わせでは、思いの外期待した性能向上を感じられない可能性があることは1つの発見といえるかもしれない。
Zen 3アーキテクチャに移行した「Ryzen Threadripper PRO 5000シリーズ」と組み合わせれば違う結果が出るだろうが、記事公開時点では一般流通しているRyzen Threadripper(PRO)5000シリーズは存在しないため、試しようがない。出てきたら真っ先に試したい所である。
それでも、Blender BenchmarkやPremiere Proの動画書き出しの結果を見れば分かる通り、GeForce RTX 3090 Tiはクリエイターが使うGPUとしてGeForce RTX 3090を上回る存在であることは確かである。「先を見据えたアップグレード」として、GeForce RTX 3090 Ti搭載グラフィックスカードを購入しておいた上で、次世代のRyzen Threadripperを待つ、という選択肢はアリだろう。
「GeForce RTX 3090と比べると差はわずかじゃない?」と思うかもしれないが、仕事として3Dレンダリングや写真/動画の作成を行っている人にとって、その“わずか”が思った以上に大きな差となる。「ちりも積もれば山となる」なのだ。
重たいテクスチャのレンダリングや長時間かつ高精細な4K動画の出力など、作業時間の短縮を図りたい人は、GeForce RTX 3090 Tiを搭載するグラフィックスカードを選べば間違いないだろう。
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