ここからは、Ryzen Threadripper 3970Xを軸とする自作PCにMSIとZOTACのグラフィックスカードを組み込んでベンチマークテストを行う。今回は、比較対象としてGeForce RTX 3090を搭載する「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 AMP Extreme Holo」も用意している。
自作PCの主なスペックは以下の通りだ(一部再掲)。
先に結論からいうと、4K解像度で負荷が高まると、GeForce RTX 3090 Tiの優位性が見えてくる。具体的にはどういうことなのか、テストの結果をチェックしていこう。
グラフィックスカードの正式名称は長いため、ここからは以下の通り略して記載する。
まず、3Dグラフィックスのパフォーマンスをチェックする「3DMark」で幾つかのテストを実行してみる。今回はDirectX 11ベースの「Fire Strike Extreme」と、DirectX 12ベースの「Night Raid」「Time Spy Extreme」を実行した。総合スコアは以下の通りだ。
僅差ではあるが、おおむねGeForce RTX 3090 Tiの方がスコアが良好である。ただし、そこまで有意な差かといえば、そこまででもない。
この後、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も実行してみた。スコアは3DMarkとおおむね同じ傾向で、解像度が高くなるほどGeForce RTX 3090 Tiの有意性が高まる。
……のだが、筆者が思ったほどスコアが高くない。少しモヤモヤした筆者は、関係者に話を聞いてみた。すると、「使っているCPUの都合でスコアが振るわないのではないか?」とのことだった。いわく、マルチコア/マルチスレッド性能に“全振り”したRyzen Threadripper 3000シリーズは、ベンチマークテストによっては最新のRyzenプロセッサよりもスコアが低くなることがあるという。今回行ったテストなら、3DMarkでは最大で3割ほど低いスコアになるようだ。
思えば、Ryzen Threadripper 3970Xは1世代前の「Zen 2アーキテクチャ」ベースである。32コア64スレッドというコンシューマーでも手に入るCPUとしては“モンスター級”であることは変わりないが、1コア当たりの性能は現行のRyzen 5000シリーズの方が高い。
ゲーミングメインでGeForce RTX 3090 Tiを搭載しようという場合、最新のRyzenプロセッサ、あるいはCoreプロセッサの上位モデルと組み合わせた方が“バランス良くハイパフォーマンスなPC”を構築できるだろう(参考記事)。
では、今回の本題である“クリエイターが使う前提”に立った場合は、どうなるのだろうか……?
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