NVIDIAが3月29日に発表した新型GPU「GeForce RTX 3090 Ti」。4月上旬から搭載グラフィックスカードが順次発売されているが、そのスペックゆえに、記事公開時における税込みの実売価格は32万7800円前後からと高価である。
その名の通り、GeForce RTX 3090 Tiは、2020年に発売された「GeForce RTX 3090」の改良版で、現時点におけるコンシューマー向けGPUの“最高峰”に位置する。8K(7680×4320ピクセル)でのゲーミングをそこそこ快適にこなせることはもちろんだが、24GBものグラフィックスメモリを備えることから、ハイエンドクリエイターにも最適なGPUといえる。
ただ、高価であるがゆえに実力を試したくても試すチャンスを得ることは難しい……のだが、今回MSI(エムエスアイコンピュータージャパン)とZOTAC(ゾタック日本)の強力を得て、両社のGeForce RTX 3090 Ti搭載グラフィックスカードを試す機会を得た。
筆者は「Ryzen Threadripper 3970X」(3.7GHz〜4.5GHz、32コア64スレッド)を軸に構成した自作PCを所有している。クリエイターが使う前提でこのPCにGeForce RTX 3090 Tiを組み合わせるとどうなるのか、ベンチマークテストを通してチェックしていく。ハイエンドな環境を求めるユーザーの、今後のアップグレードのヒントになれば幸いだ。
先述の通り、GeForce RTX 3090 TiはGeForce RTX 3090の改良版という位置付けとなる。チップ(ダイ)の型番は「GA102」で変わらず、GPUコアは8nmプロセスのAmpere(アンペア)アーキテクチャであることも変わらない。ただし、ストリーミングマルチプロセッサ(SM)、CUDAコア、RTコアやTensorコアの基数を増強しており、ブースト(最大)クロックも引き上げられている。
NVIDIAが自社設計したグラフィックスカード「GeForce RTX 3090 Ti Founders Edition」(日本未発売)の主な仕様は以下の通りとなっている。
気を付けなければならないのは、GPU補助電源コネクターが新しい「12V High Power(12VHPWR)」規格になっている点である。これはグラフィックスカードの消費電力が増加傾向にあることを背景に策定された規格で、最大600Wの電力供給に対応する。サードパーティー製のGeForce RTX 3090 Ti搭載グラフィックスカードも、この規格のGPU補助電源コネクターを備えている。
ただし、記事執筆時点において、この規格に対応する電源はほとんどない。Fouders Edtionを含むGeForce RTX 3090 Ti搭載グラフィックスカードには、12VHPWR規格の電源コネクターを従来の「8ピン×3」に変換するアダプターが付属する。従来規格の電源を流用する場合は、付属のアダプターを使って接続するようにしたい。
今回のテストでは、MSIの「GeForce RTX 3090 Ti SUPRIM X 24G」と、ZOTACの「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holo」を使ってパフォーマンスを確かめる。両GPU共にGPU補助電源は12VHPWR規格で、8ピン×3に変換するためのアダプターも付属する。記事公開時点における税込みの実売価格は前者が33万8000円程度、後者が29万7000円程度である。
「同じGPUを搭載しているなら、パフォーマンスも同じなのでは?」と思うかもしれないが、グラフィックスカードはメーカーによって冷却機構や基板の設計が異なり、それに伴いブーストクロックや最大消費電力に差異が生じることがある。このことは、最終的なパフォーマンスにも少し影響する。
公開されている仕様を見る限り、MSIのカードはZOTACのカードよりもブーストクロックが60MHzほど高い。わずかな差ではあるが、ベンチマークテストにどのような影響を与えるのか注目したい所である。
ちなみに、GeForce RTX 3090 Ti SUPRIM X 24GとZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Ti AMP Extreme Holoは共に、3スロット分超の設置面積を必要とする。ケースに組み込む際は、クリアランスに注意しよう。具体的なサイズは以下の通りである。
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