設定が終わったところで、まずはチャイムとしての機能から見ていこう。
Ring Video Doorbell 4のボタンを押すと、本体からチャイム音が鳴るわけだが、これはあくまでボタンを押したことが分かるよう、来訪者向けに発せられる音でしかない。自宅の中で音を鳴らすには、スマホ、もしくは連携するスマートディスプレイを用いるわけだが、冒頭にも述べたように、音が聞こえないケースが出てくることは大いに考えられる。
こうした場合に本製品があれば、玄関に近い廊下のコンセントに本製品を差し込んでおくことで、宅内で音を鳴らすことが可能になる。これならば、Ringアプリをインストールしたスマホを家族の誰かが持ち出していても、誰かがドアベルを鳴らしていることにすぐさま気づけるというわけだ。
ドアベルのボタンを押した時だけでなく、モーションセンサーが被写体の動きを検知した際に、音で知らせてくれる機能も備えている。そのため誰かが訪れたときは、まずこのモーション検知音が鳴り、次いでボタンが押された段階でチャイムの音が鳴るという順序になる。これならば、不意にドアベルの音が鳴って驚くこともないだろう。
これはドアベルだけでなく、同じRingのネットワークカメラ「Ring Stick Up Cam Battery」などにも対応するので、玄関前やガレージの付近でウロウロしている人や動物などがいた場合に、本製品からの音でそれを知ることができる。
ざっと使ってみて気になったのは、音が24時間365日、常に鳴る設定になることだ。本製品はスヌーズ機能こそ搭載するのだが、いわゆるスケジュール設定が行えないので、そのままだと夜中に音が鳴りかねない。
ドアホンは元々そういうものと言えばその通りなのだが、モーション検知まで時間帯を問わず鳴るのは少々困る。
これはRingアプリ側で「不在」「在宅」「解除」というモードを使って挙動を切り替えることで解決できるのだが、どちらかというと夜23時から朝7時までといった具合に、時間帯を指定してミュートできたり、音量を控えめにしたりするオプションがあるとなお便利かもしれない。
さて、チャイム音を強化したいだけであれば、あえて本製品を使わずに、スマートディスプレイを連携させる手もあるのだが、本製品のメリットはこれだけではない。
1つはWi-Fi中継器としての機能だ。Ringのドアベルは扉の外に設置するため、障害物に強い2.4GHz帯の電波ではあっても、屋内のWi-Fiルーターやアクセスポイントとの接続は、どうしても接続が不安定になりやすい。一軒家であればなおさらだ。
本製品を玄関近くのコンセントに取り付けておけば、こういった問題が解消される。具体的には、ドアベルのWi-Fiの接続先を、本製品が備える専用のSSIDに切り替えさせ、Wi-Fiルーターやアクセスポイントとの接続を本製品が仲介する形になる。言うなればブリッジ機能だ。
この機能があることによって、スマートディスプレイとの共存も意味を持ってくる。本製品は電波を強化しつつ音を鳴らし、スマートディスプレイは音を鳴らしつつ画面を使って訪問者の姿や声を確認するといった具合に、役割分担が成立するわけだ。音はどちらの製品でも鳴るが、設置場所が異なるので、機能としてダブっているわけではない。
電波を中継する仕組みは市販のWi-Fi中継機とほぼ同じだが、設定をRingアプリで行うため、接続できるデバイスはRing Video Doorbell 4やRing Stick Up Cam Batteryなど、Ringブランドの製品に限られる。Ring以外の製品とも接続できれば、国内では出番のない5GHz帯の利用も含め、Wi-Fi中継機として活用の幅は広がったはずで、多少もったいない印象はある。
これに加えてもう1つ、本製品は下部にLEDライトを搭載しており、廊下に設置しておくことで、常夜灯としての役目を果たす。機能としてはおまけ程度だが、本製品をコンセントに取り付けるにあたって設置済みの常夜灯を取り外さざるを得なくなる場合もあるはずで、その代替として使えるのはよい。
ちなみに、この常夜灯は照度センサーこそ備えるが、モーションセンサーは省かれている。従って、暗くなった時だけオンにするか、あるいは常時オフにしておくかの二択となる。こちらにもモーションセンサーがあってもよさそうなものだが、やや欲張りというものだろう。
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