今回のレビュー機が搭載しているCore i5-1240Pには、GPUとしてIris Xe Graphics(EU80基)を統合されている。その3Dグラフィックス性能を「3DMark」でチェックした結果は以下の通りだ(いずれも総合スコア)。
第10世代(開発コード名:Comet Lake)までのCoreプロセッサの内蔵GPUよりスコアは良好なのだが、Gen 9で計測した際のものと比べると若干低くなっている。
これは推測なのだが、電源設定をバランスとした場合、従来モデルよりも性能(≒発熱)を抑制するチューニングを行っている可能性がある。
レビュー機は4セル(57Wh)のリチウムイオンバッテリーを搭載している。JEITAバッテリ動作時間測定法(Ver. 2.0)に基づく連続稼働時間は約24.9時間となっている。Gen 9では約26時間だったので、わずかではあるが持ち時間は減少している。
しかし、実際のバッテリーによる連続稼働時間は利用環境によって左右される。そこで、PCMark 10のバッテリーテストを使って実利用環境に近い状況で連続稼働時間を計測してみよう。シナリオは「Modern Office」を利用し、液晶の輝度はあえて“最大”とした。電源設定は変わらず「バランス」としている。
バッテリー残量が96%から3%(強制的に休止状態となるしきい値)になるまでに要した時間は8時間12分だった。電力の消費面で、画面輝度を最大にすることは大きなマイナス要素になる。それでも、約93%分の容量で8時間は稼働できた。残業をしない前提ではあるが、外部電源につながずに1日中持ち歩いても大丈夫といえるだろう。
最後に「CrystalDiskMark 8.0.4」でSSDのパフォーマンスを確かめよう。結果は以下の通りだ。
傾向としては、同じモジュールを搭載していたGen 9の結果とおおむね同様だ。よく見てみるとシーケンシャルの(連続した)読み書きは少し速くなっていて、ランダムの読み書きが少し遅くなっているが、誤差の範囲だろう。
第12世代Coreプロセッサを搭載するノートPCでは、PCI Express 4.0接続のSSDを搭載する例も増えているが、このモデルのSSDはPCI Express 3.0接続である。PCI Express 4.0接続のものと比べれば、どうしても「遅い」のは否めない。
ただ、X1 Carbonというモデルの特性を考えれば、発熱が増える傾向にあるPCI Express 4.0接続のSSDをムリに採用する必要もないと思われる。普段使いであれば、これだけの速度が出ていれば十分とも考えられる。SSDは簡単に換装できる設計となっているので、必要に応じて取り換えるなどすれば良いだろう。
ThinkPad X1 Carbon Gen 10は、Gen 9と比べると見た目はほぼ同じである。しかし、CPUにEコアが加わった分だけ、写真/動画の編集や書き出しや表計算といったマルチコア性能がモノをいう用途ではより“強くて薄い”ノートPCになったことは間違いない。
ただ、標準の電源設定で使う限りにおいて、Gen 9と比べると「あえて性能を抑えているのではないか?」と感じる場面もあった。機会があれば、複数の電源設定を切り替えて再度検証を行いたい所である。
とはいえ、普段はGen 7(2017年モデル)を愛用している筆者からすると「やべぇよ、めっちゃ速いよ」である。実際に「Photoshop」で画像を編集してみると、Eコア効果もあってGen 7より爆速なのは当然なのだが、Gen 9と比べても処理が少し早く終わるようになった。
レノボの直販サイトではGen 8(2019年モデル)からGen 10までX1 Carbonが3世代並んでいる。使い方や必要なスペックに合わせて選べるが、筆者としては最新のGen 10がベストだと考える。やはり、Eコアは偉大なのである。
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