では、まとめていきましょう。
FMV LOOXは、モバイルOS搭載タブレットのような薄型ファンレスボディーでありながら、高い性能とWindowsの多彩な使い勝手を両立するデバイスです。ファンレスは遅いという印象に反して、今までのファン付きノートPCに劣らない使用感でサクサク作業をこなすことができます。キーボード面の発熱や冷却ファンの音から解放された作業は集中しやすく、非常に快適です。
また、スタンドが扱いやすく、ディスプレイやスピーカーの品質も手を抜いていないので、従来はモバイルOSタブレットの得意分野だった「つまんで運べるエンタメ端末」の役割もこなすことができるでしょう。
一方で、イラスト用途では2つの大きな問題を抱えています。
1つが本体の発熱です。よく食べてよく働く第12世代Coreプロセッサをファンレスでまとめるにはボディーの表面温度を上げる必要があります。これは、ボディーに触れている時間が長く、継続的に負荷が発生しやすいイラスト作業とは根本的に相性が悪い気がしてなりません。
もう1つが座標ズレの問題です。自分としては進んで絵を描く気にはなれない、座標ズレが評価機に発生していました。一時的な問題とはいえ、発売から2カ月近く経った現時点でどうなるか分からない状態というのは、クリエイティブ用途も訴求している製品としては小さくないつまずきです。
――といったところで。
何かもう、悔しいぐらい書きづらいのですが、本機は「多彩な使い方ができる高品質なノートPC/タブレットPCとしては非常に魅力的だが、イラスト用途を見込んで積極的に検討したいモデルではない」という結論になります。座標ズレが直った後は、熱の問題を自分で緩和できるならば選んでもよい製品になるでしょう。
ともあれ、座標ズレは解決するでしょうし、熱の問題も将来のモデルで解決することです。ペンも実際に良くなってきているため、「動作が速くて良いペンが使えるWindowsタブレット」の夢はずっとハッキリ見えてきました。それらが現実になる日を、貯金もしながら楽しみに待ちたいと思います。
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