さて……ここまでにだいぶかかりましたが、ペンを見ていきましょう。別売の「FMV LOOXペン」(税込み直売価格1万3200円)は、ワコムの静電気センサー式ペン技術の最新版である「Wacom Linear Pen」が採用されています。上下2つのスイッチが一体になったサイドボタンと、USB Type-Cの充電端子があります。
太さや形状はApple Pencil 2に似ていて、ペン先は確かにシャープですが、ワコムのプロペン2などの電磁気センサー方式の芯ほど細くはありません。軸の角度が鋭いので視界は良いです。
重さは約13.6gで、Apple Pencil 2 (約17.9g)のようなズッシリ感はありません。筆圧や握圧が特別強い人でもなければ長時間使っても問題ないペンだと思います。
肝心のペン性能を見ていきましょう。まずは良かった点からです。
オン荷重は約5gで、ワコムのPro製品のデフォルト設定より少し軽いぐらいでした。また、Apple Pencilのような、画面からわずかに浮いても線が出てしまう「空中筆圧」問題もみられず、画面から離れたらすみやかにオフになりました。
特に良かったのは検知可能な最大荷重で、正確には測れませんが450〜500gぐらい、筆圧の強弱を余裕を持って受け止めてくれます。海外メーカーの液タブでよく見かける値はこの半分ぐらいで、ちょっと力を入れるとすぐ上限に当たってしまい、気付きづらいとしても余裕があるとは言えない場合が多いです。
遅延も、120fps撮影で数えて約6フレームでした。問題ない結果です。
次に、静電気センサー式で問題になりやすいジッターです。本機もジッターはわずかにありますが、アプリで手振れ補正の設定をすれば気にしないでいられるレベルです。
もちろん、電磁気センサー式の高性能なモデルと比べれば負けますが、静電気センサー方式の古いモデルはもっとグニャグニャが当たり前だったので、ずいぶん安心できる時代になったと思います。また、今回はフィルムを貼った場合のジッターも見ておきました。ガラスフィルムでは少し悪くなっているように見えますが、今回試した限りでは著しく悪化している様子はみられません。
そして、問題があったのが座標ズレです。今回使った評価機には、ペン先と線の位置がずれる問題が発生しています。精度が低いわけではなく、ペンの傾きに応じて一定量ずれています。右手で持った時には奥側にずれるので違和感が強く、多くのストロークが失敗になります。
メーカーに問い合わせたところ、問題は認識していて対応中とのことでした。ですが、記事執筆時点で問題があることは公開されておらず、いつ/どのように解決されるかについても不明です。また、本機にはユーザーが座標を調整できる機能はありません。
いずれ解決するとは思いますが、この問題が発生している限りは快適に絵を描くことはできません。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.