ソニーの新ブランド製品「INZONE M9」を使って分かった! 誰のための1台なのか(2/5 ページ)

» 2022年09月14日 13時30分 公開
[西川善司ITmedia]
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入力は4系統 KVMスイッチはゲームコントローラーも使える!?

 電源供給は、付属のACアダプターから行う方式で、出力160Wのかなり大型のACアダプターだ。ディスプレイ部は直下型バックライトを採用する関係で、奥行き方向に分厚いため、電源回路を内蔵して「ACアダプターいらずのデザイン」にしても良かった気もするが、ノイズ対策、排熱効率、ディスプレイ部の重量軽減の意味合いからこのようなデザインになったと思われる。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 付属のACアダプターは大柄だ

 接続端子は、背面側の下部にある。HDMI端子は2系統あり、両端子共にHDMI 2.1規格準拠で4K/120Hz入力に対応する。

 DisplayPort端子は1系統で、DisplayPort 1.4規格に準拠している。本機が誇る最大リフレッシュレートの4K/144Hz入力はDisplayPort端子接続でのみ実現される点には留意されたし。

 本機にはUSB Type-C端子が用意されているが、こちらは、DisplayPort Alternate Modeに対応しており、追加のDisplayPort端子としても利用できる。PC側がDisplayPort Alternate Mode対応であれば、前出のDisplayPort端子と完全同等の映像伝送端子としても使える(つまり、4K/144Hz入力に対応する!)。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 接続端子は背面下部にまとまっている

 さて、本機を活用する上で注意したいのは、接続ケーブルについてだ。INZONE M9にはケーブル類が付属してこない。

 HDMIケーブルについては、必ずHDMI 2.1規格の48Gbps接続対応のものを用意する必要がある。HDMI 2.0規格対応ケーブルでは18Gbpsまでしかサポートしていないので、4K/60Hz映像はギリギリ映せても、4K/120Hz映像は点滅したり全く映らない場合があったりする。なお、HDMI 2.0以前とHDMI 2.1では、接続端子自体が同じでも、各ピンの使い方と伝送速度が異なるため、「物理的につながっても性能が発揮できない」場合があるのだ。

 DisplayPortケーブルについても同様で、本機の最上位表示モードの4K/144Hzを映す場合には、DisplayPortケーブルがDisplayPort 1.4規格の32Gbpsモードに対応している必要がある。DisplayPortケーブルは、DisplayPort 1.2規格時代の20Gbpsモード対応の古いものでも意外と使えてしまったりする場合もあるにはある。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation HDMI接続では4K/120Hzまでの表示が可能だ
INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 4K/144Hz表示は、DisplayPortないしはUSB Type-C(DisplayPort Alternate Mode)でのみ可能となる

 いずれにせよ、「接続と表示」に関連して挙動に何かおかしなことを感じた場合は「本体の異常」よりも前に、まずはケーブルの相性を疑った方がいいかもしれない。

 ただし、接続性に関してHDMIもDisplayPortも、2022年の現在は、ちょうど移行期のタイミングなので、本機のような15万円クラスの高級モデルであれば、ケーブル類は一通り付けて欲しかったとは思う。

 それと、接続端子が全て下向きに搭載されていて視認性が芳しくなく、ケーブルの抜き差しは行いづらかった。

 前述した縦画面への回転ピボット機構があれば、ケーブルを接続するときだけ、クルッと接続端子を横向きにして接続端子を露わにできるのだが、本機ではピボット機構がないのでそれもできない。頻繁にゲーム機やPCなどの映像機器を抜き差しする用途に、本機を運用するのは向かないかもしれない。

 一方、本機はUSBハブ機能を備えており、しかもこれがKVMスイッチ機構に対応している。ここには、ソニーの「PCゲーミングファンにも本機を訴求したい」という"思い"を感じる。

 KVMスイッチ機能とは、1組のキーボードとマウスを、画面表示に連動して2台のPCで共有して使えるものだ。このKVMスイッチ機能は、PCではもちろんのこと、PS5やXbox Series X|Sなどのゲーム機と組み合わせて使うこともできる。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation KVMスイッチの接続概念図
INZONE M9 ソニー SIE PlayStation KVMスイッチの設定はOSDメニューやINZONE Hubから行える

 ちなみに、INZONE M9では、本体背面のUSB Type-C端子がKVMスイッチ1に、USB Type-B端子がKVMスイッチ2に対応している。KVMスイッチ1と2をそれぞれ任意の映像入力端子(HDMIやDisplayPortなど)に割り当てることができ、この割り当てカスタマイズは本体側のOSDメニューからはもちろんのこと、INZONE M9のサポートソフトの「INZONE Hub」(後述)からも行える。

 本機の評価中に、PCとXbox Series Xを用いてKVMスイッチが使えるかを実験した様子を動画に納めたので下に示しておこう。

実際にINZONE M9のKVMスイッチ機能を実機で試してみた

 接続端子は、この他にヘッドフォンやアナログPCスピーカー接続用として、3.5mmのアナログステレオミニジャックが用意されている。

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