ソニーの新ブランド製品「INZONE M9」を使って分かった! 誰のための1台なのか(5/5 ページ)

» 2022年09月14日 13時30分 公開
[西川善司ITmedia]
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INZONE M9はどんな人に適した製品なのか

 「ソニーのTV、ブラビアの遺伝書引き継いだゲーミングディスプレイ製品」という看板にうそ偽りはなし……そんな印象を持った。ただし、4K/HDR/144Hz対応とはいえ、27型で税込み15万4000円(直販のソニーストア価格)はコストパフォーマンス的にはあまり優秀ではない。

 というのも2022年の現在、15万円の予算があれば、HDMI 2.1規格準拠で4K/120Hz入力に対応した55型の直下型バックライト採用機の液晶TVが、普通に購入できてしまうからだ。INZONE M9はリフレッシュレート144Hzに対応しているが、それもDisplayPort接続時に限られる。HDMI接続時は120Hzまでなので、液晶TVに対する優位性もそれほど高いとはいえない。

 では、INZONE M9はどんな人に適した製品なのだろうか。

 パターン1つ目。まず、30型未満の画面サイズしか置けない環境への設置を考えていて、4K/HDR/120Hz以上の高画質ディスプレイを欲しているユーザーだ。確かにTV製品では30型未満でINZONE M9に肉迫した製品は存在しないので、INZONE M9を選ぶ必然性がある。

 2つ目は、「画面の一望性」を重視した、競技性の高いゲームをプレイしているユーザーだ。大画面TVでのゲームプレイは、ゲーム体験に没入感を重んじる一般的なユーザーには歓迎されるが、「勝ち負け」が最優先されるガチ勢は「大画面はむしろ見にくい」と考える。むしろ「中小画面でも高性能」の方が響く。こうしたコアゲーマー層はINZONE M9を選ぶ価値はある。

 3つ目は、普段使いの高画質ディスプレイとしても使いたいが、ゲームプレイもそこそこ重視したいと考えるユーザーだ。INZONE M9は発色性能は優秀なので、映像制作、グラフィックスデザイン、写真制作といった用途にも十分使える。本稿で指摘したヘイロー現象も静止画表示主体の活用ならばほとんど気にならない。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 色度計で本機の画質モード「標準」におけるスペクトラムを計測して見たところ、このようになった。全体的に“鋭くえぐれた美しい3つのスペクトラムピーク”があるのは、色再現性に優れていることの証である。ちなみに、赤色のピークが大小2つになっているのは、広色域バックライトに使われているKSF赤色蛍光体の特徴だ

 結局のところ、INZONE M9が競合機に対してやや高価なのは「直下型バックライトシステム×エリア駆動」機構の部分が大きいため、この特徴機能に魅力を強く感じればINZONE M9を選ぶべきだし、そうでないのであれば、INZONE M9からこの機能を差っ引いた競合機達が10万円前後かそれ以下で販売されており、そちらを選ぶのがいいかもしれない。

 最後に、INZONE M9をPS5やXbox Series Xの実機に接続したときのステータス表示画面を示しておく。両ゲーム機で120Hz出力が行えることを確認できた。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation PlayStation 5接続時に4K/HDR/24Hz〜120Hz出力対応の他、VRR対応も確認できた
INZONE M9 ソニー SIE PlayStation Xbox Series X接続時も、結果はPS5はほぼ同じ。Xbox Series XはDolby Vision出力にも対応する。ソニーのブラビアも含めて、最近のTV製品はDolby Visionに対応した製品も増えているが、INZONE M9を初め、ゲーミングディスプレイ製品では現状、ほとんどが非対応である
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