ソニーの新ブランド製品「INZONE M9」を使って分かった! 誰のための1台なのか(3/5 ページ)

» 2022年09月14日 13時30分 公開
[西川善司ITmedia]
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充実のゲームプレイ支援機能

 OSDを使った本体操作は、正面向かって右側裏面にあるジョイスティック型の操作ボタンを使って行う。

 このジョイスティックを押し込むとメニューが出現し、その後、方向入力を左に入れると入力切り替え操作となり、上が画質調整メニューへ飛び、下がゲーム関連機能メニューへと飛ぶ。右はメニューのトップを開く操作となる。ミニジョイスティックを押し込まず直接左右に傾けた場合は音量操作、上下に傾けると輝度(明るさ)調整を直に行える。

 最後に操作したメニューアイテムの位置を記憶してくれないので、メニューを呼び出すたびにメニューカーソルの位置が初期化されてしまう。そのため「設定値を変えては映像を確認」→「気に入らなければさらに調整と確認を」といった反復調整が行いにくい。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation OSDメニューを操作するジョイスティックは、背面の電源ボタン上部にある

 一応の改善策は用意されている。それは、無料提供されているユーティリティーソフト「INZONE Hub」を活用する手段だ。

 このソフトでは、設定メニュー群がOSDメニューのような階層構造ではなく、2つの画面に集約されていて、確かにこれであれば「設定値を変えては確認→再調整」といった使い方もたやすく行える。とはいえ、このアプリはWindows PC向けにしか提供されておらず、INZONE M9をMacやゲーム機からしか使えない環境では、調整は我慢してOSDメニューから行うしかない。

 なお、本体のファームウェアのアップデートもこのINZONE Hub経由となり、KVMスイッチ機能を正しく設定しないと行えず、その難易度は高めだ。Macやゲーム機しか持っていないユーザーは、本機のファームウェアアップデートは行えないことになるので、その点はあらかじめ留意しておきたい。せめて、USBメモリーから行える手立ては欲しかったところだ。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation INZONE Hubの本体設定を行う画面。本体のファームウェアのアップデートもここから行う

 ゲーミングディスプレイ製品ということで、ゲーム関連機能はいろいろと装備している。

 「Adaptive-Sync/VRR」は可変フレームレート表示支援機構のことで、「オン」にすればフレームレートが安定しないゲーム映像の表示を可能な限りなめらかに行ってくれる。PS5も2022年4月の最新ファームウェアのアップデートによってVRRへの対応がなされたばかりなので、魅力的な機能として捉えるゲームファンも多そうだ。

 なお、INZONE M9は「NVIDIA G-SYNC COMPATIBLE」への対応も行われている。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 「Adaptive-Sync/VRR」の機能イメージ
INZONE M9 ソニー SIE PlayStation INZONE M9とGeForceを繋いだ環境でのテストの様子。「Adaptive-Sync/VRR」の他に、「G-SYNC COMPATIBLE」にも対応しているのを確認できた

 昨今のゲーミングディスプレイ製品では定番ともいえる、あの「暗部階調を強く持ち上げて、暗がりに潜む敵やオブジェクトを見えやすくする」という、いわゆる階調ブースト機能を本機では「ブラックイコライザー」として搭載している。

 設定範囲「0〜3」で数値を大きく設定すればするほど暗部は持ち上がるが、その分、コントラストは下がる。画質的な美観は下がるので、eスポーツ系のゲームをプレイする時以外は活用すべきではない。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation ブラックイコライザーの動作イメージ

 「応答速度」の設定は、「標準/高速/超高速」から選べるが、やみくもに「超高速」を選ぶのは禁物だ。この機能は、いわゆる過電流による液晶画素のオーバーシュート駆動を行うものなので、応答速度を高めれば高めるほど正しい色は出にくくなる。映像の種類にもよるが、スクロール系のゲームでは、リンギングと呼ばれる輪郭部が二重表示されたような見栄えになることもあるため、真ん中の「高速」あたりを選択するのが無難だ。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation INZONE Hubの画質モードや、ゲームプレイ支援関連機能の設定を行う画面。画面中央に照準器(クロスヘア)を表示する「クロスヘア」モードの設定もここから行える

 冒頭でも述べたように、INZONE M9は、SIEではなくソニーから発売されており、PCゲーミングへの対応を強く訴求したモデルではあるが、ちゃんとソニーブランドのゲーム機であるPS5に特化した機能も搭載している。「PS5っぽいのは"見た目"だけではない」といわんばかりの「Perfect for PlayStation 5」という「PS5連動機能」を備えている。

 具体的には「オートHDRトーンマッピング」と「コンテンツ連動モード」の2つが、このPerfect for PlayStation 5機能ということになっている。

 オートHDRトーンマッピングは、PS5と接続した際に、HDR映像表示用のキャリブレーションを省略できる機能だ。PS5がINZONE M9を認識すると「調整は不要ですがしますか」的なメッセージを出してくる。もちろん、"あえて"のHDRキャリブレーションを行うこともできる。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 「オートHDRトーンマッピング」の機能イメージ

 「コンテンツ連動モード」は、ゲームプレイ時には画質モードを「ゲーム1モード」に自動設定してくれて、映像コンテンツ視聴時には自動的に画質モードを「シネマモード」に設定してくれる機能だ。INZONE M9は、毎秒24コマで構成されるアニメや映画の視聴に適した24Hzモードも備えているので、「コンテンツ連動モード」はPS5での映像鑑賞する際には便利に使える。

INZONE M9 ソニー SIE PlayStation 「コンテンツ連動モード」の機能イメージ

 というわけで、"Perfect"と銘打つには"やや大げさ"な気もするPerfect for PlayStation 5機能だが、「かゆいところに手が届く」本機特有の機能であることは間違いない。

 ちなみに、Perfect for PlayStation 5というPS5連動機能は、今期のソニーのブラビアには全搭載となっているので、INZONE M9だけの機能ではないことを最後に補足しておく。

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