Zenbook Pro 16X OLED(UX7602)は、液晶ディスプレイを開く動作に連動してキーボードの奥側が持ち上がり、約7度の傾斜がつく「AAS Ultra(Active Aerodynamic System Ultra)」と呼ばれる機構を備えている。
この機能は、キーボードのタイピングしやすさに加えて、エアフローの効率化を狙ったものだ。キーボードの奥側が持ち上がることでボディーとの間にスペースができ、そこから冷却ファンへフレッシュなエアーを取り込むことができる。同社によると、AAS Ultraがない場合と比べて、エアフローは30%増加するという。
キーボード自体の品質も良い。Enterキーの右にキー並んでいたり、カーソルキーや「¥」キーが小さかったりと少しクセがある配列だが、わずかに凹みのついたキートップは指を置きやすく、スイッチも適度な低反発仕様でタイプ感はとても良い。
メインのタッチパッドの左側には、中央にボタンを配置した円形タッチパッド「ASUS Dial」を搭載する。
触れるとメニューが表示され、パッドの円周に沿ってなぞる操作でシステムの音量や画面の明るさの変更ができ、設定を登録しておくことで、アプリごとに独自の操作が可能だ。標準ではアドビのクリエイティブツールに操作が登録されている。
ただ、操作感は好みが分かれるだろう。筆者が便利に感じたのは、Premiere Proでの時間軸の移動だが、使っていると疲れを感じる。慣れないせいもあるだろうが、物理ダイヤルに比べて指の移動量が多いことが原因だろう。「タイムラインズーム」や「オーディオトラックの縦幅調整」は不具合なのか、評価機では機能しなかった。
Lightroom Classicの現像パラメーター調整についても、現像項目をまず選択して調整、また現像項目の選択に戻って……という作業になるため、パッドを回す左手だけが忙しく、マウスだけで操作した方が何倍も速い。
本気で左手操作で編集作業を効率化したければ、より操作しやすい物理ダイヤルを備えた外付けコントローラーも市販されている。追加コストなしで左手操作を体験できるのはメリットではあるだろうが、タッチパッドベースでは使い勝手に限界がある。
周辺機器のノートPCへの一体化は省スペース性や携帯性が向上する一方で、PCのライフサイクルに縛られる要素が増えることでもある。もっと明確にメリットを実感できるデバイスにならないと、付加価値として訴求することは難しいだろう。
続いて、本機のスペックをチェックする。
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