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これは“iPad SE”なのか? 新型iPadを試して分かった「無印は基準機」という位置付けとシリーズの新たな幕開け本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/3 ページ)

» 2022年10月24日 23時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

いろいろな部分が新しくなった第10世代iPad(Pencilを除く)

 iPad(第10世代)がiPadシリーズの新たな基準となる存在と捉えるなら、Apple Pencilがなぜか「第1世代」対応なのに引っかかりを覚えるのを除けば、スペックや機能は納得感が高い。

 まずSoC(System-On-a-Chip)は、iPhone 12シリーズやiPad Air(第4世代)でも採用された「A14 Bionicチップ」だ。このチップは機械学習処理のパフォーマンスが大きく向上したことが特徴で、iPad(第9世代)で採用されている「A13 Bionic」と比べるとピーク時で1.8倍の処理速度を備えている。

 iPadOS 16には、動画や静止画から文字を抽出する「ライブテキスト」、文字入力欄にApple Pencilで自由に書き込める「スクリブル」、写真から被写体だけを簡単に取り出して貼り付けることが可能な「ビジュアルルックアップ」など、Neural Engineを活用した新機能が幾つか搭載されている。最新ではないものの、従来よりも強力なNeural Engineを搭載することで、iPad(第10世代)ではこれらの新機能を快適に使えるようになっている。

iPad A14 Bionicによって、iPad(第10世代)ではiPadOS 16の新機能を快適に使うことができる。画像にもあるが、やろうと思えば4K動画の編集も可能だ

 iPadといえば、オプションの「Magic Keyboard」はフィーリングの良さに定評がある。ただし、比較的廉価な無印iPadと組み合わせるには“高級すぎる”面もある。

 Appleもそのことを意識したのか、iPad(第10世代)の発売に合わせて、新しい「Magic Keyboard Folio」を発売する。このキーボードはMagic Keyboardのフィーリングの良さを維持しつつ、シンプルな2ピース構造(背面カバー兼スタンド+キーボード)を採用することで価格を3万8800円に抑えた。

 構造や一部のキー配列が異なることなど、Magic Keyboard FolioはMagic Keyboardとは使い勝手に違う面もある。しかし「リーズナブルにノートPCライクな使い方」をする上では、より便利なアイテムに仕上がったように思う。

 なお、2ピース構造になったことでキーボードを使わないときは外しておくという使い方もできる。動画視聴時など、キーボードを視界から外したい場合に便利だ。ただし、Magic Keyboardと比べると設置に奥行きが必要なことと、モモの上に置いた際の安定感に劣る点は注意が必要である。

キーボード 左が11インチiPad ProとiPad Air(第4世代以降)用の「Magic Keyboard」、右がiPad(第10世代)用の「Magic Keyboard Folio」(共に日本語配列のホワイト)。地味ではあるが、Magic Keyboard Folioにはファンクションキーがあることも特徴である
実際に取り付けた図 iPad(第10世代)にMagic Keyboard Folioを取り付けた図。キーボード側は必要に応じて取り外すことも可能なことがメリットだ
Magic Keyboardとの比較 11インチiPad Pro/iPad Air用のMagic Keyboardはキーボードとバックカバーを分離できないものの、机に置いた際の奥行きがより少なくて済むというメリットがある
実測重量 キーボードの実測重量は、Magic Keyboard Folioが約590g、Magic Keyboardが約610gと大差ない
国内線その1 国内線の航空機でモモの上で使った図。この状態でも操作できなくもないのだが、安定性の面ではMagic Keyboardに劣る
国内線その2 座席前のテーブルを広げて使ってみる。スタンド部分に奥行きが必要なため、少し大きめのテーブルでもキーボードの手前側が少しはみ出してしまう

 iPad(第10世代)では、外部接続端子が「USB Type-C」となった。iPadシリーズでは新デザインに移行したモデルにおいてLightning端子からUSB Type-C端子への移行を進めてきたが、最後までLightning端子のまま残っていた無印もついに……という所である。

 外部接続端子がUSB Type-Cとなったことで、Lightningプラグを使う周辺機器を接続できなくなってしまった(後述するが1つだけ“例外”がある)。しかし「PCライクに使う」という観点に立つと、USB Type-C端子の採用は大きなプラスである。USBストレージやドッキングステーション(USBハブ)を接続しやすくなったし、先述の通りDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応できる。

 また、本機の特徴としてインカメラがセンターフレーム対応の超広角レンズとなり、その位置が横画面時の上部中央に来るようになったことが挙げられる。iPadシリーズでインカメラの位置が変わったのは、今回が初めてだ。恐らく、これは近年のオンライン(Web)会議の増加を受けて、横向き表示の際の利便性を向上することを意図して行った変更だろう。

 今回、新しいiPad Proでは従来通りの位置(縦画面時の上部中央)にインカメラが来ているが、将来のiPadシリーズの新モデルでは、新しいiPadと同じ位置にインカメラを移すことになるだろう。

インカメラ とても地味な変化なのだが、iPad(第10世代)ではインカメラの位置が横画面時を基準とした位置に移されている。新しいiPad Proでは従来通り縦画面時を基準としているが、今後のiPadシリーズの新モデルでは横画面基準に移行するのではないかと筆者は予想している

 このように、第10世代になったiPadは、さまざまな新要素を取り入れている。ただし“基準機”としての要素を忘れている訳ではなく、細かく見ると以下のような違いもある。

  • 表面ガラスに低反射コートが施されていない
  • ディスプレイがフルラミネーション構造ではない(表面ガラスとディスプレイ本体の間にすき間がある)
  • 対応するApple Pencilが「第1世代」のままである

 3つ目のApple Pencilの件は「本体がUSB Type-C端子になったのに大丈夫なの?」と思ってしまう所だが、一応の救済策はあるので後述する。

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