「無限再生紙」から「被災地のトイレ問題」まで――5つの展示会が一堂に会した「SDGs Week EXPO 2022」(2/4 ページ)

» 2022年12月09日 07時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]

印刷会社の子会社が「紙を極力使わない」ソリューションに取り組む

 先述のエプソンのブースは「紙を繰り返し使う」というアプローチに立ったこととは対照的に、凸版印刷の子会社であるトッパン・フォームズは「紙を極力使わない」というアプローチを提案していた。

+メッセージを活用した手続きプラットフォーム「AIRPOST」

 「紙をよく使う」の典型例として、各種行政手続きが挙げられる。

 転居を例に挙げると、役所へ転出/転入手続きをして、運転免許証保持者であれば都道府県警察が指定する場所へ赴いて記載情報の更新を行う必要がある。金融機関などの民間サービスの住所変更手続きを含めると、結構多くの紙と時間が“飛び交う”ことになる。一部の手続きはオンライン手続きできるかもしれないが、紙の書類が欠かせない手続きもまだまだ多い。

 そんな面倒な手続きをオンラインで一気に完結させようというプラットフォームが「AIRPOST(エアポスト)」だ。

AIRPOSTは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが共同で提供している携帯電話向けメッセージングサービス「+メッセージ」を活用している。なぜ+メッセージなのかといえば「+メッセージは引っ越しをしても変わらない携帯電話番号を基盤としているから」である。

 ユーザーサイドがAIRPOSTを使うには、+メッセージアプリでAIRPOSTの公式アカウントをフォローする必要がある。公式アカウントをフォローした後、手続きをひも付けたい機関(企業や団体)と「つながり」を持てば、AIRPOSTを使って行った各種変更手続きが指定した「つながった」機関に告知されるという寸法だ。本人確認は、サービスによって以下のいずれか(または両方)を選択できる。

  • eKYC:スマホのカメラで本人確認書類(※1)と顔を撮影して確認
  • マイナンバーカード:スマホのNFC通信機能でカードを読み取って本人確認(※2)

(※1)運転免許証、マイナンバーカード、在留カードのいずれか
(※2)カードを読み取る際に「署名用電子証明書パスワード」(6〜16桁の英数字)を入力する必要があります

 AIRPSOTと提携している機関にとっては、各種手続きをペーパーレスで行える上、書類などの郵送やデータ入力に掛かるコストを削減できるというメリットがある。ユーザーにとっては、住所変更や口座振替申し込みに伴う手間や苦痛から解放されるというメリットがある。ある意味で「Win-Win」なサービスといえる。

AIRPOST AIRPOSTは「つながり」を持った機関(企業/団体)の各種変更手続きをワンストップでできるサービスだ。+メッセージアプリを使うのは、引っ越しなどをしても変わらない携帯電話番号を基盤としているためだ。
参画企業 AIRPOSTに参加している企業や団体

電子ペーパーを使った「デジタグ」

 もう1つのペーパーレスソリューションが、電子ペーパーラベル「デジタグ」だ。デジタグには「タグタイプ」と「ラベルタイプ」の2種類があり、専用のリーダー/ライターまたはハンディターミナルにかざすことで表示内容を書き換えられるようになっている。

デジタグ デジタグにはタグタイプ(左)とラベルタイプ(右)がある。奥にあるリーダー/ライターを使うことで表示内容を書き換えられる(書き換え用のハンディターミナルも用意されている)

 例えば、物流センターなどでは、従来は棚の内容が変わる度にペーパーラベルを貼り替えないといけなかったかもしれない。これをデジタグに置き換えれば、ハンディターミナルで内容を書き換えられる。製造ラインであれば、検査のチェック項目を製品に合わせて書き換えたり、検査状況を記したりといった使い方も可能だ。

 電子ペーパーなので書き換えには数秒かかってしまうが、表示するだけであれば電力が不要であることも強みである。書き換え可能回数は10万回以上とされているので、用途にもよるが比較的長期間利用できることも魅力的である。

デジタグを実際に書き換えている様子。操作がかざすだけなので時間がかかっているように見えるが、「書く」「(古いラベルを)はがす」「(新しいラベルを)貼る」より時間短縮になるし、何より誰もが読めるというメリットがあると感じた

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