交通網や下水道、高層ビルのエレベーターなど、生活に欠かせないインフラは人知れず常に保守/点検されている。だからこそ、私たちは不安なくインフラを利活用できるのだ。
しかし、インフラの保守/点検には時間、費用、人的コストがかかる。高所であれば足場を組む必要があるし、ボイラーや焼却炉の内部点検には危険も伴う。人が入り込むのが難しい場所もある。
これらの課題を課題を解決するのが、Liberawareの小型ドローン「IBIS(アイビス)」だ。
IBISは直径20cmと小型なため、狭いダクトなど、人が入りにくい場所へも侵入できる。ドローンだけに、高さのある煙突や蒸留塔の点検も飛んで行って楽に行える。
Liberawareでは三次元データの利活用についてCalTa(カルタ)と協業している。CalTaの技術を用いて、IBISが取得した映像データを点群(X/Y/Zの3軸で表せる数値)に変換することで、施設などの経年劣化の進み具合を把握しやすくできるという。
インフラの点検では「目視チェック」も欠かせないが、人間がすることなので記入漏れや記入箇所の間違いなどもゼロにはできない。ゆえに、危険箇所の「見逃し事故」もゼロにすることは事実上不可能だ。しかし、IBISとCalTaによって、より精度の高い点検を行えるようになる。足場を数日かけて組んだり取り外したりするといった作業もなくせるため、労働人口減少といった課題も解決できそうである。
ただし、IBISにも課題がある。バッテリー駆動時間だ。小さいゆえに大容量のバッテリーを搭載することは難しく、現状では8分程度しか飛行できない。作業が長時間に渡る場合は、バッテリーを複数個用意する必要がある。長時間の飛行が可能になれば、できることも増えるに違いない。
一瞬だけITに戻ったが、最後はITから再び離れて、国内で増えつつある自然災害時の課題を解決するソリューションを紹介したい。ニットクの「レストルームビークル」だ。
その名の通り、レストルームビークルは自走式のトイレカーである。トイレに特化したキャンピングカーと言ってもよいかもしれない。
一般的な仮設トイレとは異なり、自走できることが何よりのメリットだが、他にも以下のメリットがある。
問題は汚水の処理だが、レストルームビークルでは汚物タンクを取り外すことなく、ホースを使ってダンプステーション(キャンプ場やRVパークにある汚水処理施設)に排水できるようになっている(し尿処理業者に処理を任せることも可能)。
レストルームビークルについて、担当者は「災害時だけでなく、イベントや工事現場、またキャンプ場などにおける『トイレが遠い問題』の解決にも役立つ」と説明する。これだけ清潔感のある仮設トイレであれば、被災時にトイレを我慢することによる病気にかかるリスクも軽減できそうである。
紙や木材、土など、普段参加するデジタル機器の展示会とは異なり、ぬくもりを感じるものを多く目にすることができたSDGs Week EXPO。0と1の世界からちょっと離れて、未来の地球に思いを馳せてみるのはどうだろうか。
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