冒頭でも少し触れたが、今回登場した新しいMacBook Proは、先代モデルと外観が“全く”といっていいほど変わっていない。しかしよくよく見てみると、M2 Pro/M2 Maxチップの採用以外にもアップデートされている部分が幾つか見受けられる。
その1つがWi-Fi(無線LAN)である。新しいMacBook Pro(とMac mini)は「Wi-Fi 6E」に対応している。Wi-Fi 6Eは従来の2.4GHz帯や5GHz帯に加えて6GHz帯でも通信できることが特徴で、とても混雑している2.4GHz帯や場所によっては混雑するようになった5GHz帯を“避けて”快適な通信を実現できる。
なお、6GHz帯での通信にはWi-Fi 6Eに対応する無線LANルーター(アクセスポイント)を用意する必要があるので注意しよう(参考記事)。
加えて、映像出力仕様もアップデートされ、HDMI端子から8K/60Hzまたは4K/240Hzの映像を出力できるようになった。8K動画の編集にもピッタリである。M2 Maxモデルであれば、Thunderbolt 4(USB4)端子を併用して最大4台の外部ディスプレイをつなげることも可能だ(M2 ProモデルはHDMI出力を含めて最大2台)。
変わらない見た目もあって、筆者は当初「これはマイナーチェンジだよな」と思っていた。しかし、実際に使ってみると、特にM2 Maxモデルは“ほぼ”フルモデルチェンジと考えて差し支えないと感じる。
さすがにM1 Pro/M1 Maxチップを搭載する先代モデルを持っている人にまで買い換えを勧めることはしないが、Apple Siliconを搭載する14/16インチMacBook Proに少しでも興味のあるメディアクリエイターには購入を強くお勧めしたいアップデートとなっている。
ただし、M2チップファミリーを搭載するMacにおいて、一番コストパフォーマンスに優れているのはM2チップ搭載のMac miniだと思う。PC USERの読者であれば、USB接続のキーボード/マウスと外付けディスプレイくらいは持っているはず。そうであれば、本体(と対応する動画編集アプリ)を買うだけでMedia Engineの恩恵に浴せる。パーソナルな動画編集であれば、これで十分すぎるぐらいだ。
一方、新モデル登場が期待できない、Intel CPU搭載の「27インチiMac」を愛用しているユーザーには、M2 Proチップ搭載のMac miniと「Studio Display」の組み合わせも良い選択肢となると思う。唯一のネックは標準ガラスモデルで21万9800円というStudio Displayの価格だが、「27インチiMacをアップグレード(リプレース)する」と思えば、納得の行く金額ではあると思う。
ともあれ、M2 Pro/M2 Maxチップの登場によって、Apple Silicon搭載のMacの“層”は厚くなった。近くに試用できる量販店があれば、ぜひその“実力”を試してみてほしい。試用させてくれる所有者がいるなら、使わせてもらうのもアリだろう。
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