プロ絵師が「iPad Pro 2022」をレビュー! 「ホバー以外に得るものがなく、ホバーのために得る価値がある」という境地に至った理由:ある日のペン・ボード・ガジェット(2/4 ページ)

» 2023年03月02日 12時00分 公開
[refeia,ITmedia]

ついに実装されたホバー機能

 それでは、本題のホバー機能を見ていきましょう。

 iPad Proは2022年モデルから、Apple Pencilが画面上12mmまで離れていても位置を検知できる機能が追加されました。ホバーは電磁気センサー型の液タブでは20年前から当たり前、静電気センサー型のWindowsタブレットなどでも以前から(精度はともかく)珍しくない機能で、iPadが最後発になります。

ペン先の重なった部分が、下地の色と混じっていることに注目してください ペン先の重なった部分が、下地の色と混じっていることに注目してください

 従来のホバー機能だと、筆を下ろす前に正確な位置やブラシのサイズ感を把握するのが主な目的でしたが、iPad Proでは、アプリによっては色や混色の結果までプレビューすることもできます。後出しでは強めに勝ちに行くAppleらしいできです。

Procreateなどの積極的に対応しているアプリでは、ブラシのサイズや形状だけでなく選択中の色も確認しながら描けます Procreateなどの積極的に対応しているアプリでは、ブラシのサイズや形状だけでなく選択中の色も確認しながら描けます

 また、他社で従来ありがちだった、筆を下ろした時にカーソルがジャンプしたり、傾けるとずれたりするような不審な挙動はなく、全体的に信頼感を持って正確に使えます。

アプリの対応状況はまちまち

 PCのように最初からマウスカーソルがあるのでアプリが自然と対応できていた状況と違い、今まで「ホバーは無し」で長いことやってきたiPadには、ホバーカーソルの表示自体、アプリが対応する必要があります。そして、執筆時点でいくつかめぼしいアプリをピックアップしてみた対応状況は以下のようになります。

CLIP STUDIO PAINTは、ホバーカーソル表示のために設定を変える必要がありました CLIP STUDIO PAINTは、ホバーカーソル表示のために設定を変える必要がありました

 カジュアル寄りのアプリは、対応が遅れているように見えますね。とはいえ、カジュアル用途のユーザーが最新のiPad Proをバンバン買うわけではないと思いますし、がっつりやりたい人が多そうな「Procreate」と「CLIP STUDIO PAINT」が対応しているので、ひとまずはOKだと思います。

 対応しているアプリにも、全てのブラシでカーソルが見えるわけではなかったり、プレビューカーソルと実際に描いた時のブラシサイズが大きく異なる場合があったりなど、純正メモアプリも含めて違和感が残るものが少なからずあります。iPadのホバーの世界は始まったばかりですし、今後じっくり完成度が上がっていくと期待していればいいでしょう。

 また、iPadのPC液タブ化に便利な「Luna Display」や「Astropad」もホバーに対応していて、以前よりも違和感なく作業できるようになっています。これもうれしい更新です。

まだiPadにはないフル機能の「Photoshop」も、iPadを液タブ化して使えます まだiPadにはないフル機能の「Photoshop」も、iPadを液タブ化して使えます

今までホバー無しで描けていたなら不要?

 ところで、今はiPadだけで素晴らしいイラストを仕上げる絵師さんがとても多いです。最初からホバー無しが当たり前のネイティブiPad絵師も少なからずいることでしょう。そこに浮かぶのは「ホバーって必要なものだったのか?」という疑問です。

 これについては、「必要とまでは言わないけど、無いよりはあった方が良いのは絶対」という答えになります。PC操作でタッチディスプレイとマウスを使い分けると便利なのは、マウスしかない間は分からなかったですしね。遠いUIまで視線を動かしてブラシサイズをチェックしたり、1筆目はアンドゥ前提だったり、大きなブラシをあまり使わない製作スタイルに自然になっていたりと、負担や制約になっていることに気づかないケースもあると思います。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月14日 更新
  1. 「折りたたみ不要派」が過去形に? 約201gの軽量ミニタブレットとしても使える「Galaxy Z Fold8」に触って分かったこと (2026年10月13日)
  2. RTX 5060よりRTX 3060? 最低でも25万円! 値上がりが続く自作ゲーミングPCのリアル (2026年10月12日)
  3. 約581gの軽さで美しい画面を持ち歩く! 日本エイサーの有機EL搭載14型モバイルディスプレイ「PE140Wsmiuux」を試す (2026年10月12日)
  4. 最大割引率は49%! セール初登場を含むAmazfitのスマートウォッチ&スマートリングがお得 (2026年10月13日)
  5. メモリやSSDが高すぎてPC買えない問題 IntelのラナーデCTOはどう考えている? (2026年10月09日)
  6. オープンイヤー型の「ACCENTUM Clip」が初セール! 「ゼンハイザーオータムセール2026(第2弾)」開催 (2026年10月13日)
  7. Razerの「鳴潮」コラボのマウスとマウスパッドをまとめてチェック 見た目とは裏腹な本格ゲーミングスペック! (2026年10月13日)
  8. 全48製品が最大40%オフ! BenQのディスプレイやプロジェクターがお得に! (2026年10月11日)
  9. Core Ultra 7を搭載した3in1設計の10.95型タブレットPC「OneXPlayer X2 Air」 (2026年10月13日)
  10. Anthropicが小型AIモデル「Claude Haiku 5.5」を発表/Mistral AIが大規模言語モデル「Mistral Large 4」を公開 (2026年10月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー