プロ絵師が「iPad Pro 2022」をレビュー! 「ホバー以外に得るものがなく、ホバーのために得る価値がある」という境地に至った理由ある日のペン・ボード・ガジェット(4/4 ページ)

» 2023年03月02日 12時00分 公開
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まとめ

 それでは、まとめていきましょう。

 iPad Pro 2022年モデルは、従来から完成度が高かったボディーにM2チップを搭載して、使い切れないほどの高い性能と、M2チップのPC基準の豊富な仕様によって、将来にわたって利便性向上への備えが得られるモデルです。メインメモリも基本8GB、最大16GBまで選べ、ホバー機能も備えていて、イラスト製作においても本当に弱点がなくなりました。iPadでのイラスト製作に高い熱意で取り組みたい人は、積極的に検討するのが良いでしょう。

 一方で、ホバー機能を重視しないのならば、性能や細部の仕様が向上しているとはいえ、2021年の時点で能力が十分以上に有り余っていたM1チップ搭載モデルと比べて得るものは少ないです。発売時よりリーズナブルに入手しやすくなったM1モデル(1度値上げはありましたが)を差し置いて、選ぶべき理由を見つけるのは簡単ではありません。

 また、巡りあわせの不運と言うべきか、このモデルはデバイス自体のできとは別のところでも困難を抱えています。

 1つが、アプリなどの環境的にも我々の感覚的にも従来から十分に離れられていないまま、iPad Proの性能や潜在的機能が「未来」に行きすぎてしまっていることです。これは、代り映えもせず性能だけ上がっても……という印象にもつながってしまっていると思います。

 もう1つが、そろそろニューアルの頃合いでは? という疑問です。iPad Proが今の形になったのが2018年で、そろそろ5年が経とうとしています。2018年のモデルチェンジの鮮烈さは今も記憶に残っていて、それがまた起こることを期待せずにはいられません。もし期待がかなったら、本機は「過去」に属するモデルになってしまいます。

 といったところで……、

 今回レビューが難しそうだなと思ったら、本当に難しくて与太話ばかりになってしまいました。過去と未来から板挟みの難しい立場ですが、最近のOS更新や、性能や機能の向上を見ていると、もがきながらも強く進もうとしているのも感じます。あれは実りある成長痛だったね、と言える時がくるのを楽しみにしたいです。

返却する箱に私物の2020年モデルを入れて、「このままバレない感じにできないかな〜」などとニヤニヤしながら想像する遊びをしている様子 返却する箱に私物の2020年モデルを入れて、「このままバレない感じにできないかな〜」などとニヤニヤしながら想像する遊びをしている様子
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