自由に動画を楽しめる喜び 一方で課題も――Amazon「Echo Show 15」のFire TV機能を試す(3/3 ページ)

» 2023年04月12日 12時45分 公開
[ひかるんITmedia]
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音質重視なら「壁掛け利用」がベター?

 Amazonが用意しているイメージショットを見る限り、Echo Show 15は壁に掛けて使うことを前提にしているようである。それゆえ、スピーカーは背面に付いている。

 先述の通り、今回は卓上スタンドを使って据え置き利用している。音を跳ね返す壁がないせいか、音はそこそこ良いものの、響きが弱く感じられた。音の響きを重視するなら、壁に設置するか、本体の後方に何らかの板を置くとベターだろう。

 もっとも、動画を流し見する程度であれば、そこまで気にする必要はない。必要十分な音質である。

スピーカー Echo Show 15のスピーカーは背面に付いている。壁設置の場合と比べると、据え置きだと音の響きが弱く感じされる

 「音を前面に出したい!」という人もいると思い、試しにEcho Show 15と手持ちの「Echo Dot」を使ってステレオペアを組もうとしたのだが、作成できなかった。Echo Show 15のFire TV機能は“完全移植”ではなく、これ以外にも機能面での差分は意外とある。Fire TV向けアプリも一部に非対応だ。詳しくはAmazonのサポートサイトを確認してみてほしい。

ディスプレイはとてもキレイ

 Echo Show 15を通してみる映像は、かなりきれいである。15.6型のフルHD(1920×1080ピクセル)液晶ということもあって、フルHD解像度の動画コンテンツとの相性はバッチリで満足度は高い。

 内蔵されているSoC「Amlogic PopcornA Pop1」(8コアCPU搭載)の処理性能は、スマホやタブレットと比べるとそれほど高くはない。しかし、フルHD動画を再生してもコマ落ちは全くない。まさに“必要十分”なスペックを備えている。

ライブ配信 先日Amazon Prime Videoでライブ配信された世界的な野球大会もバッチリ視聴できた

 このディスプレイを思う存分に生かすなら、Fire TV機能からは離れるがフォトフレーム機能をお勧めしたい。この機能では、Amazonが厳選した写真やアートの他、ユーザーが「Amazon Photos」にアップロードした写真を表示してくれる。

 「Amazonプライム」会員であれば、Amazon Photoへの写真のアップロードは容量無制限で行える。お気に入りの写真を選んでおけば、ランダムに表示できる。ただし、表示する写真を指定しないと、完全なランダム表示となってしまうため、表示したくしたくない写真まで表示されてしまう恐れもある。特定の写真からランダム表示したい場合は、事前に「アルバム」を作っておいて、アルバムを表示するように設定することをお勧めする。

フォトフレーム Echo Show 15のフォトフレーム機能では、いろいろな写真(静止画)をランダム表示できる。Amazon Photosにアップロードした写真を表示する場合、特に設定をしないと完全にランダム表示となってしまうので、あらかじめAmazon Photos上で「アルバム」を作った上で、アルバムの表示を指定することをお勧めする(表示に使うアルバムの変更は、設定の「Amazon Photos」項目にある「変更」をタップする)

 15.6型の大きな液晶ディスプレイを備えるEcho Show 15だが、液晶であるがゆえに「使わない時(待ち受け中)に、暗い場所でも部屋がそれなりに明るくなってしまうのでは?」という心配をしていたのだが、それは杞憂(きゆう)だった。輝度センサーが検知して、しっかりと液晶の輝度を落としてくれるのだ。

 部屋が暗くなると、画面の輝度は付いているかどうかギリギリで分かる程度まで落とされ、時計が表示される。部屋が“真っ暗”な状態でないと寝付きにくい筆者でも問題のないレベルまで落としてくれるので、ベッドルームに置いても問題なさそうである。夜間でも見やすい時計としても最適といえる。

夜 暗い部屋で、待受画面を表示した所を撮影した。肉眼では見えるか見えないかのギリギリを攻める所まで輝度が落とされるので、「少しでも明るいと眠れない!」という人でも安心である

Alexaによる音声コントロールは便利 ウィジェットによる制御は要改善

 筆者の自宅は、エアコンと照明をAlexaで制御できるようにしている。具体的には、LinkJapanのスマートリモコン「eRemote mini」を置いて、エアコンと照明をコントロールしている。

 Echo Show 15はAlexa対応のスマートディスプレイである。当然「Alexa」と話しかけてから所定のワードを伝えれば、eRemote miniを介してエアコンや照明を制御できる。しかしながら、ホーム画面のウィジェットなど、画面を使ったエアコンや照明のコントロールはできなかった

 どうしてなのか調べてみたところ、ウィジェットには「お気に入り」登録したデバイスのみ表示できること、そしてお気に入りに登録するにはデバイス側の対応も必要ということが分かった。お気に入り登録に非対応なデバイスでも、「オン」「オフ」といった単純な操作には対応してほしかった所ではある。

 スマート家電をAlexaに対応させる際は、ぜひお気に入りに登録できるように対応してほしいとも思った。

「薄型」に慣れると気になる「厚み」

 TV、スマホ、タブレットにノートPC――最近はあらゆるディスプレイ(を備えるデバイス)が狭額縁化している。そのせいもあってか、Echo Show 15を初めて手にした時は「厚さ」がとても気になった。

 筆者は普段、サムスン電子のAndroidタブレット「Galaxy Tab S8 Ultra」と、LGエレクトロニクスの壁掛けTV「LG OLED WX」を使っている。Galaxy Tab S8 Ultraは14.6型ディスプレイで厚さ約5.5mm、LG OLED WXは65型ディスプレイで厚さ約3.9mmであるのに対して、Echo Show 15は実測で35mm(3.5cm)もある。Galaxy Tab S8 UltraとLG OLED WXが薄型化に有利な有機ELディスプレイを採用していることを差し引いたとしても、Echo Show 15の厚さはかなりのものである。

 また、Echo Show 15は本体重量も約2.2kgと重めである。壁掛け(VESA)マウントに対応するために、これだけの厚さと重量になってしまったのだと推察するが、筆者個人としてはもっと薄く軽くしてほしいと思った。

35mm Echo Show 15の実測での厚さは35mmとなる。壁掛け(VESA)マウントに対応すべく“ガッチリ”とした設計にしたためにこうなったと思われる

“大画面”がもたらすメリットは確実にある

 Echo Show 15は、Fire TV機能に対応したことで“便利さ”の幅が大きく広がったように思う。

 筆者のように何らかの作業中に動画をずっと流しているようなユーザーなら、TVやPCのディスプレイが動画で占有されないというメリットを見いだせる。また、ホーム画面のウィジェットをうまく使えば、タイル状に並んだ情報を一目でチェックできることも魅力的である。朝、天気や予定をチェックするスマホなどでユーザーなら、チェックに要する時間を短縮できるかもしれない。

 一方で、実際に使ってみると「もっとこうした方がいい」と思える部分も少なからずあった。ソフトウェアの改善でどうにかできる部分もあるはずなので、今後のブラッシュアップに期待したい所である。

 本体の厚みや重量については、デザインや機能にも影響を及ぼす部分もあるので「これがベスト」というものはない。ただ、筆者としてはもっと薄く軽くできるといいのかな、と思う。

 ともあれ、他のスマートディスプレイと比べると、Echo Show 15の「できること」は確実に多い。「できること」に価値を見いだせるのであれば、ダントツでお勧めの1品である。

カメラ Echo Show 15は、プライバシーシャッター付きのカメラも備えている。このカメラをより多くの用途で使えると活用の幅がさらに広がると思う
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