Intelは5月29日(米国太平洋夏時間)、開発コード名「Meteor Lake(メテオレイク)」のCPUに関する新情報を公開した。このCPUは、次世代の電力管理機能の他、刷新された「Intel Xe Graphics」や新しい「AIエンジン(VPU)」を搭載することでパフォーマンスの向上と省電力化を両立するという。正式な発表は「2023年後半」を予定している。
Meteor Lakeは現行の第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)の後継で、順当に行けば「第14世代Coreプロセッサ」となる予定のCPUだ。既報の主な特徴は以下の通りである。
Meteor Lakeの後継CPU「Arrow Lake」(開発コード名)は、新たな電源半導体「RibbonFET」とIntel独自の裏面電源供給技術「PowerVia」を組み合わせたプロセス「Intel 20A」を、Arrows Lakeの次に来る「Lunar Lake」(同)ではIntel 20Aを改良したプロセス「Intel 18A」を採用する計画となっている。
今回の新情報は、Meteor Lakeに搭載されるAIエンジンに焦点を当てている。
昨今の「AI(人工知能)」は、いわゆる機械学習(マシンラーニング)や深層学習(ディープラーニング)をベースにしているものが多い(以下、機械学習と深層学習をまとめて「機械学習」とする)。機械学習ベースのAIは、膨大なデータを処理しなければならないため、従来は圧倒的な演算能力を持つサーバ(データセンター)を行う必要があった。
しかし最近は、より高速な応答の実現やプライバシー保護の観点から機械学習処理をローカルで行うニーズが高まっている。スマートフォンやタブレット向けのSoC(System-on-a-Chip)では、CPUコアやGPUコアとは別に機械学習処理に特化したVPUを搭載する動きがいち早く起こったが、PC向けCPU(SoC)でもAMDが「Ryzen 7040シリーズ」の一部モデルにCPU/GPUコアから独立したVPUを搭載している。
Meteor Lakeは、従来のx86アーキテクチャCPU向けのソフトウェア資産を活用しつつ、独立したAIエンジン(VPU)を搭載することで「『今まで』と『これから』の橋渡しを行うCPU」になるという。
内蔵GPU(Intel Iris Xe Graphics)では、並立処理のスループット(実効速度)を向上することで、主に3DレンダリングにおけるAI処理パフォーマンスを向上する。
また先述の通り、独立したVPUを搭載することでCPU/GPUにおけるAI処理のオフロードや、継続的なAI処理パフォーマンスの向上を図る。Ryzen 7040シリーズではVPUの搭載が一部モデルに限られることを意識してか、IntelはMeteor Lakeでは全てのモデルでVPUを搭載していることを強くアピールしている。
そしてCPUコアもレスポンスを改善する改良を加えることで、軽量かつ単一推論で済むAI処理のパフォーマンスを改善するとしている。
問題は、VPUの搭載によってどのくらいのパフォーマンス改善効果があるかという点に尽きる。Intelによると、ビデオ(Web)会議では消費電力を抑えつつ、以下の新機能と改善を実現できるという。
ただ「全てのモデルにVPUを搭載する」とはいっても、肝心のアプリがVPUに対応していなければ意味はない。そこでIntelは「エコシステム」を活用して一気に対応アプリを拡大する方針のようだ。
サードパーティー製のアプリでは既に、IntelのCPU/GPUを使って機械学習ベースのAIを実装しているケースがある。これをシームレスにVPU対応にすべく、ツール類の提供を行うなどサードパーティーとの連携を強化していくという。
また、オープンソースコミュニティへのコミットメントも強化し、VPUをより活用しやすくなる環境作りも進めていく。
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