同じ「Matter対応」でもここが違う! スマートリモコン2製品を比較して分かったこと山口真弘のスマートスピーカー暮らし(2/2 ページ)

» 2023年07月19日 12時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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赤外線リモコン対応の家電製品がHomeアプリ上で使えるか

 以上のように、MatterによるHomeアプリへの登録の流れは両製品ともにほぼ共通だ。では最大の違いは何かというと、スマートリモコンに登録された照明やエアコンなど赤外線リモコン対応の家電製品が、AppleのHomeアプリ上で表示されるかどうかだ。

 Nature Remo nanoは、最大3台という制約つきながら、スマートリモコンに登録した赤外線リモコン対応家電製品をHomeアプリ上に表示でき、実際に操作も行える。これに対して、SwitchBot ハブ2ではこれらは一切表示されず、それゆえ操作も行えない。

Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン Homeアプリのホーム画面。これはどちらのスマートリモコンも未登録の状態だ(左)。Nature Remo nanoだけを登録した状態。連携済みの家電製品3台(照明/扇風機/シーリング)が表示されている(中央)。SwitchBot ハブ2だけを登録した状態。連携済みの家電製品は表示されない(右)

 つまり、赤外線リモコン対応家電製品をHomeアプリ上で操作できるのは、この両製品のうちNature Remo nanoだけということになる。SwitchBot ハブ2では、赤外線リモコン対応家電製品はたとえSwitchBotアプリで連携できていたとしても、このHomeアプリ上で操作することはできない。

 では、このSwitchBot ハブ2がMatter対応である必要はどこにあるのか。1つは温度と湿度の計測だ。SwitchBot ハブ2には、温度センサーと湿度センサーが搭載されており、これらはAppleのHomeアプリ上できちんと認識される。

 これらを使えば、Homeアプリのオートメーション機能を使って、例えば「一定の温度を超えたら音楽もしくは環境音を再生する」などの自動化設定が行える。ただし温度湿度センサーは、そもそもHomePodや「HomePod mini」に内蔵されているので、必要性は全くない。温度湿度センサーのない「Apple TV 4K」を使っている場合のみ、かろうじてメリットがある状態だ。

Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン Homeアプリで「オートメーション」を開いて「新規オートメーションを作成」をタップする(左)。今回は温度センサーをトリガーにするので、「センサーが何かを検知したとき」をタップ(中央)。ハブ2の温度センサーを選択する。HomePod内蔵の温度計もありややこしいので、名前は見分けられるようにしておくとよい(右)
Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン トリガーとなる温度を指定する。今回は「30.0度以上」を選択した(左)。30度を超えた時に動作させたいデバイス(今回はHomePod)を選ぶ(中央)。HomePodを選んだ場合、できることは音を鳴らすことだけだ。「オーディオ」をタップして開く(右)
Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン 「オーディオを選択」をタップ(左)。使えるオーディオソースは、Apple Musicもしくは環境音のみだ。今回は後者を選択する(中央)。鳴らしたい環境音を選択して「完了」をタップしよう(右)
Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン 30度を超えると、環境音(暖炉の音)が再生される設定が完了した(左)。そのままだと環境音が流しっぱなしになるので、1分後にオフになるよう選択して「完了」をタップする(中央)。オートメーション作成が完了した。同じ要領で湿度センサーを使ったオートメーションも作成可能だ(右)

 もう1つは、Matterに対応した同社デバイス、具体的には「SwitchBot カーテン」および「SwitchBot ブラインドポール」、「SwitchBot ロック」がHomeアプリ上で利用できるようになることだ。もっともこれは同じメーカーの製品であり、そもそも所有していなければ意味がない。メリットがないとは言わないが、ハブ2はスマートリモコンであり、汎用(はんよう)デバイスへの対応の方が、優先順位としては上だろう。

 こうしたことから、SwitchBot ハブ2は同社のMatter対応デバイスを所有していなければ、現時点では温度計湿度計として使えるにすぎない。同社サイトでは「ハブ2に登録済みのエアコンリモコン」への対応について「開発中」と記載しているが、時期の明言はなく、エアコン以外への言及もないので、複数ジャンルを網羅した赤外線リモコン機能対応は、半年や1年といったスパンでは、対応する可能性は低いだろう。

Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン SwitchBot ハブ2未登録の状態。「気象」欄に温度が表示されているが、これはHomePod内蔵の温度センサーが取得した値だ(左)。SwitchBot ハブ2を登録した状態。温度センサーが追加されて2つになったため、左上の「気象」が「25.5〜27.0°」と、複数のセンサーがあることを示唆する表記に変わっている(中央)。タップして開くと、HomePod内蔵の温度センサーとSwitchBot ハブ2内蔵の温度センサーの2つが認識されていることが分かる(右)
Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン SwitchBotが公開しているMatter対応のタイムテーブル。「ハブ2に登録済みのエアコンリモコン」は時期未定の「開発中」となっている。エアコン以外のジャンルへの言及はなく、早期の追加は望み薄だ

 そうした意味においては、2023年7月時点でMatterの機能をきちんと使えるスマートリモコンは、国内では事実上Nature Remo nanoのみということになる。SwitchBot ハブ2のような付加機能はほぼなくシンプルイズベストの製品だが、赤外線リモコン対応家電をHomeアプリ上で使いたければ、こちら一択となる。

 「スマートリモコンが欲しい、できればMatter対応で」と考えている人は、製品ページの「Matter対応」の字面だけを見るのではなく、こうした違いは理解しておく必要はありそうだ。

Switchbot ハブ2 Nature Remo nano スマートリモコン 左が「Nature Remo nano」、右が「SwitchBot ハブ2」。どちらも「Matter対応のスマートリモコン」ながら、性格は全く異なっている
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