前回の記事で、自宅の停電対策にパススルー充電機能を備えたポータブル電源を活用すると、UPSと比べて導入ハードルが低くなるという紹介をした。
とはいえ、バッテリーを搭載したポータブル電源を充電しながら本当に使ってもいいものなのか不安を覚えることもあるだろう。そこで、本記事ではパススルー充電機能についてや、UPSとの仕組みの違いについての解説、具体的なポータブル電源の選び方やオススメしたい製品を紹介していく。
パススルー充電機能の仕組みについて少し掘り下げてみよう。具体的な使い方として、普段はポータブル電源をコンセントに接続し、ポータブル電源の出力コンセントにPCやNASを接続して利用することを想定してみよう。
ポータブル電源がパススルー充電に対応していれば、常にポータブル電源を充電しつつ、ポータブル電源から接続先のPCやNASに出力(放電)できるようになっている。
なお、コンセントから供給される電力は、接続された機器に優先的に供給され、残りの余剰電力でポータブル電源内のバッテリーを充電している。そのため、ポータブル電源の最大出力を超える機器を接続した場合、コンセントから供給される電力が全て接続先の機器に供給されるため、ポータブル電源の充電が行えなくなる点に注意したい。
この状態で停電するとポータブル電源への充電は途絶えてしまうが、ポータブル電源を十分に充電されているため、PCやNASに電力を供給できる。あくまでパススルー充電対応のポータブル電源はPCやNASを安全にシャットダウンするまでの時間を稼ぐ物なので、停電したらすぐに編集中のファイルなどを保存して、シャットダウンしなければならない点には注意しておきたい。
UPSと違う点としては、UPSは通常時はバッテリーからは出力せずに、直接機器に電力を流し、停電時は瞬時にバッテリー出力に切り替えるため、バッテリーへの充電は容量が減ったときに行われる。その点、パススルー充電対応のポータブル電源は、通常時も常に充放電を繰り返すため、バッテリーへの負荷が高くなる。とはいえ、鉛バッテリーを採用しているUPSと違って、寿命が長いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用した製品が多いことから、バッテリーの寿命についてはそこまで影響は無さそうだ。
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