ポータブル電源は簡易的なUPSとして利用できると解説したが、UPSとどう違って何が簡易的なのか気になる人も居るだろう。そこで、UPSの基本的な仕組みを簡単に紹介しつつ、ポータブル電源との違いを見てみよう。
まずは、比較的に安価でポータブル電源に近い仕組みを持つ常時商用給電方式だ。商用電源(コンセントに来ている交流電源)から常にバッテリーを充電しつつ、各機器へ出力して停電時にはバッテリーからの出力に切り替える。
パススルー充電機能を持つポータブル電源との違いは、常時商用給電方式のUPSは各機器へそのまま商用電源から電力を供給するが、パススルー充電の場合は通常時であっても一度バッテリーを通す形となる。とはいえ、停電時の動作についてはポータブル電源と同じく、バッテリー出力へ切り替えるため、瞬断が発生する。
続いては、ラインインタラクティブ方式を採用したUPSについて簡単に触れてみよう。ラインインタラクティブ方式のUPSは、ポータブル電源と違ってトランスを搭載しており、停電時や一定以上の電圧変動(電圧降下など)を検知すると、バッテリーからの給電に切り替える。そのため、停電時のバッテリー出力への切り替えが早い点と、トランスによる電圧調整機能で、接続した機器に安定した電力を供給できる。ただし、トランスを搭載しているため、その分費用はかさむが、サーバやワークステーションも接続できるメリットがある。
最後に、常時インバータ給電方式について触れてみよう。こちらは、通常時もバッテリーを通した上でバッテリーから出力される直流からインバータを通して交流に変換した上で各機器に出力する。
この方式は、整流器とインバータを通す過程でノイズ低減が行われるため、各機器に対して定電圧、定周波数の安定した電源を供給できる。さらに加えて停電時にバッテリー出力への切り替え時間が発生しないため、少しの電源トラブルも許されない重要なサーバで利用する際に、通常時や停電時に関わらず高い信頼性を持たせられる。
このように簡単にUPSとの違いについて触れてみたが、パススルー充電対応のポータブル電源はUPSの下位にあたる物で、商用利用には向かない物のUPSの導入が難しい家庭での電源保護にはちょうど良い製品といえる。
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