CPUの型番はいつ決まる? どうやって決める? Intel最新CPUの作り方、みんなに見せちゃいます!大人の社会科見学(4/5 ページ)

» 2023年09月04日 11時00分 公開
[西川善司ITmedia]

第3工程:ダイをパッケージ基板に実装しテル!

 クリムキャンパスでの工程は、ダイのテープ&リールへの巻き付けが最後となる。ここから先の工程は、ペナンキャンパスで行われる。

 テープ&リールに収められたダイは、ペナンキャンパスにある「Assemby and Test(PGAT)」という施設に運び込まれる。その名の通り、PGATはCPUの「組み立て」と「テスト」を行うための施設で、Intelによると毎日数百万個のCPUを生産/テストしているという。

 PGATにおける最初の工程は「Chip Attach」だ。テープ&リールに巻き付けられているダイをパッケージ基板に実装する工程で、ここではチップ抵抗なども取り付けられる。

セクション ペナンキャンパスにあるChip Attach工程のセクション
ロボット駆使 当然かもしれないが、ダイのパッケージ基板への実装もロボットによる全自動制御で行われている
チップ基板を搭載 この工程では、チップ抵抗も取り付けられる
人手 今までと比べると、この工程では工員の姿を多く見かけた。要所要所で人の目での確認が行われている
Meteor Lake こちらは、まもなく正式発表されるであろうMeteor Lakeのダイをパッケージ基板に実装している1コマ

第4工程:ダイを固めてヒートスプレッダーを組み付けテル!

 続いて行われるのが、パッケージ基板に実装したダイを、エポキシ樹脂で塗布/硬化させる「Epoxy(エポキシ)」工程だ。耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性を持つエキポシ樹脂でダイを覆うことで、絶縁性や耐紫外線性を高めることが主な狙いだが、物理的な固定度を高めることにもつながっている。

 ノートPC向けCPUについては、この工程をもってほぼ完成となる。

エポキシ パッケージ基板のダイ周辺部にエポキシ樹脂を塗布/硬化させるエポキシ工程
Meteor Lake Epoxy工程を終えたMeteor Lakeのパッケージ基板。ダイの周辺にある、だいだい色の“はみ出し”がエキポシ樹脂である
PV こちらは「Intel Data Center GPU」(開発コード名:Ponte Vecchio)のパッケージ基板で、右側がEpoxy工程前、左がEpoxy工程後のものである。先のMeteor Lakeに塗布されたものとは色は違うが、周辺にある白色の“はみ出し”はエキポシ樹脂だ

 デスクトップ/サーバ向けCPUの場合、この工程の後に熱界面材(Thermal Interface Material:TIM)を塗布して、ヒートスプレッダーを被せる「Lid Attach」工程も行われる。

 TIMの塗布h情報は製品によって異なるといい、グリス状のようなものをホイップクリームのように流していくものもあれば、板状のようなものを敷いて対応するものもある。

TIMを塗る 第4世代Xeon Scalableプロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)にTIMを塗布する様子
TIMを塗る パッケージ基板に多様なダイが実装されているIntel Data Center GPUでは、TIMの塗布工程は少々複雑になる。様子を見る限り、高さとサイズの違うTIMを敷いているようだ
ヒートスプレッダー 第4世代Xeon Scalableプロセッサにヒートスプレッダーを載せる風景。ここまで来ると、デスクトップPC/サーバ向けCPUっぽい外観になる

PGATではAIも駆使

 PGATにおける工程については、Intelから写真に加えて動画の提供も受けた。ぜひ見て頂ければと思う。

PGATにおける各工程のまとめ動画(提供:Intel)

 この動画で注目してほしいのが、1分10秒あたりで見られる、赤緑青(RGB)のライトが一瞬ずつ光っているシーンだ。これはChip Attach工程が終了したパッケージ基板を、5K解像度のカメラで撮影している場面を収めたものである。

 何のための撮影なのか――実はこれ、機械学習ベースのAI(人工知能)を使って、コンピュータビジョンで仕上がり検査(検品)をしているのだ。ここで問題がないと判断されたCPUは、次の工程に送られる。一方で、AIが気になる部分を見つけた場合は、念入りな検品工程(精密検査)に回されるという。

 多段に用意された品質管理工程はコスト増の要因となりうるが、AI技術の導入によってこれを最低限に抑えているわけである。

ピカピカしている ほぼ完成したCPUにRGBライトを当て、5Kカメラで撮影した写真を使ってAI検品を行っている。光る様子はさながらゲーミングPCのライティングのようにも見えるが、検品の省力化に大きく貢献しているという

 検品をクリアしたCPUは、この後さらなる“検査”に回されることになる。

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