クリムキャンパスでの工程は、ダイのテープ&リールへの巻き付けが最後となる。ここから先の工程は、ペナンキャンパスで行われる。
テープ&リールに収められたダイは、ペナンキャンパスにある「Assemby and Test(PGAT)」という施設に運び込まれる。その名の通り、PGATはCPUの「組み立て」と「テスト」を行うための施設で、Intelによると毎日数百万個のCPUを生産/テストしているという。
PGATにおける最初の工程は「Chip Attach」だ。テープ&リールに巻き付けられているダイをパッケージ基板に実装する工程で、ここではチップ抵抗なども取り付けられる。
続いて行われるのが、パッケージ基板に実装したダイを、エポキシ樹脂で塗布/硬化させる「Epoxy(エポキシ)」工程だ。耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性を持つエキポシ樹脂でダイを覆うことで、絶縁性や耐紫外線性を高めることが主な狙いだが、物理的な固定度を高めることにもつながっている。
ノートPC向けCPUについては、この工程をもってほぼ完成となる。
デスクトップ/サーバ向けCPUの場合、この工程の後に熱界面材(Thermal Interface Material:TIM)を塗布して、ヒートスプレッダーを被せる「Lid Attach」工程も行われる。
TIMの塗布h情報は製品によって異なるといい、グリス状のようなものをホイップクリームのように流していくものもあれば、板状のようなものを敷いて対応するものもある。
PGATにおける工程については、Intelから写真に加えて動画の提供も受けた。ぜひ見て頂ければと思う。
この動画で注目してほしいのが、1分10秒あたりで見られる、赤緑青(RGB)のライトが一瞬ずつ光っているシーンだ。これはChip Attach工程が終了したパッケージ基板を、5K解像度のカメラで撮影している場面を収めたものである。
何のための撮影なのか――実はこれ、機械学習ベースのAI(人工知能)を使って、コンピュータビジョンで仕上がり検査(検品)をしているのだ。ここで問題がないと判断されたCPUは、次の工程に送られる。一方で、AIが気になる部分を見つけた場合は、念入りな検品工程(精密検査)に回されるという。
多段に用意された品質管理工程はコスト増の要因となりうるが、AI技術の導入によってこれを最低限に抑えているわけである。
検品をクリアしたCPUは、この後さらなる“検査”に回されることになる。
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