Intelのペナンキャンパスは、1972年11月に完成した。同キャンパスにある「A1」という施設は、同社にとって初の米国外に開設された半導体組み立て/後工程施設である。足かけ51年存在する“歴史的な工場”だ。
一方のクリムキャンパスは、1995年に稼働を開始した。当初はIntel純正のマザーボードの製造などを担っていたが、近年ではダイの選別工程、各種テストの工程や自社向け品質テスト機器の製造などを受け持っている。
今回のイベントでは、ペナンとクリムの両キャンバスで実際に行われている工程を見学する機会を得られた。見学は複数グループに分かれて実施され、必ずしも工程順ではなかったのだが、本稿では順番に整理した上でお伝えする。
CPU製品の製造で最も“上流”に来る工程は、CPUを構成する「ダイ」のウエハーを製造する工程となる。このことは、半導体生産に明るい人なら想像の通りである。
しかし、ウエハーは米国、アイルランドとイスラエルの拠点で製造されており、マレーシアのキャンパスでは行っていない。「じゃあ何をやっているの?」という所だが、マレーシアの両キャンパスでは「ダイの準備とソート」「アセンブリー(組み立て)とテスト」を担当している。要するに、世界中から持ち込まれたウエハー類を「CPU」として組み立て、テストして出荷する工程を担っているのだ。
現在マレーシアでは「Pelican(ペリカン)」と「Falcon(ファルコン)」と呼ばれる新工場を建設中で、これらのうちPelicanが完成すると、先進パッケージング品を含む、ウエハーの製造以外の全工程をマレーシア国内で完結できるようになる。
さて、細かい製造の様子を見ていく前に、CPUの“姿”を一度思い出してみよう。我々がPC製品の基板(マザーボード)上で見るCPU、あるいはPCパーツショップで売られているCPU製品は、一辺が数cmからなる四辺形の形状をしているのはご存じの通りだ。
デスクトップ/サーバPC向けCPUなら、その表側には「ヒートスプレッダー」と呼ばれる金属プレートが取り付けられ、裏側は「小さな基板」(Package Substrate:パッケージ基板)のようなものになっている。ヒートスプレッダーを強引に外す行為を「殻割り」と呼んだりするが、殻割りをすると、パッケージ基板の上にCPUのダイを拝むことができる。
ノートPC向けCPUの場合は、大抵ヒートスプレッダーは設けられていないので、ダイを直接拝める。その代わり、後付けされるヒートシンクとの設置面を平滑化するために、パッケージ基板の外周部にフレームが実装されることが多い。
IntelのCPUはどのように作られていくのか――ここまでを思い出してもらった上で、旅路をじっくりと見ていくことにしよう。
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