CPUの型番はいつ決まる? どうやって決める? Intel最新CPUの作り方、みんなに見せちゃいます!大人の社会科見学(1/5 ページ)

» 2023年09月04日 11時00分 公開
[西川善司ITmedia]

インテル、復活目指しテル!

 2021年3月、Intelのパトリック・ゲルシンガーCEOは「IDM 2.0」というキーワードを掲げ、「Intel復活へののろし」ともいうべく「Intel復活の戦略」をぶち上げた。

 IDMは「Integrated Device Manufacturer」の略であり、直訳すれば「統合型デバイスメーカー」という意味だ。意訳を加えれば「垂直統合型デバイスメーカー」ということになるだろう。2.0は、「これまでとは違うぜ。バージョン2.0なんだぜ」というような「気合いの入れよう」といったところだろう。いかにも半導体メーカーらしい、「キャッチーな響きのキーワード」にも思える。

 しかし、その内容自体は、響きとは裏腹に意外にも現実的かつ堅実な目標であった。近年はクライアント向け、エンタープライズ向けの双方のCPU市場において、競合AMDの勢いが強まっている。そんな昨今の情勢を巻き返すには、このスローガンめいた“キーワード”がIntel内部はもちろん、社外(つまりはユーザー)向けにも必要だった、ということなのだろう。

 IDM 2.0について軽くおさらいすると、大きく以下の3つの柱から構成されている。

  1. 大規模な製造能力を提供する世界規模のIntelの工場ネットワーク
  2. Intel社外の製造基盤の効果的活用の拡大
  3. 世界最高水準の製造事業となる「Intel Foundry Services」の提供

 1番は自社プロセッサの製造技術力を、最新技術の活用によって強化していく戦略のことを指している。2番は、例えば台湾TSMCなど競合企業を含めて、社外のファウンドリー(受託製造者)の基盤を積極的に活用していくことである。そして3番は、自らがファウンドリーとなって、社外の製品生産を受託していくことを意味している。

 これらは、いずれもIntelが「半導体業界のリーダー」として復活する上で欠かせない取り組みとされている。

IDM 2.0 IDM 2.0戦略が掲げる3つの“柱”
プロセス 半導体業界のリーダーとして復活する上で鍵となるのが、「新しい5つのノード(プロセス)を4年でたちあげること」である。現時点では上から2つ目の「Intel 4」(7nmプロセス)まで達成済みで、急速に競合へと追いつこうとしている

 そんな中、Intelは8月下旬、半導体関連を中心とする世界中のメディアをマレーシアに集め、「Intel Tech Your.MY」なるイベントを開催した。このイベントはIDM 2.0の3本柱、特に「大規模な製造能力を提供する世界規模のIntelの工場ネットワーク」の現状を知ってもらうために開催されたといい、同国内にある自社の半導体製造拠点「ペナンキャンパス」と「クリムキャンパス」の見学ツアーも行われた。

 少し前置きが長くなってしまったが、この記事では工場見学ツアーの模様をお伝えしよと思う。なお、「カメラに写ってはいけないもの」が多数存在することもあり、工場での写真撮影は原則としてできなかった。今回の記事で使われている写真は、特記のない限りIntelが提供したものを利用しているのでご了承願いたい。

Intelツアー 今回のイベントは「Intel Tech Tour MY」と銘打って行われた。ご想像の通り、MYは「Malaysia(マレーシア)」の略称である
撮影できた場所 工場見学の様子。イベントの参加者(報道関係者)がカメラで撮影ができたのは、こうした重要施設以外のエリアのみとなる

 工場見学に出かける前に、Intelにとってのマレーシア拠点がどのような位置付けにあるのか、簡単な説明があった。

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