Intelの開発者/技術者向けイベント「Intel Innovation」というと、基調講演のようなカンファレンスがメインと思われがちだが、会場にはパートナー企業も参加する展示ブースも設けられている。
9月19日と20日に開催された2023年のイベントでは、全体的にAI(人工知能)関連やエンタープライズ/サーバ関連の展示が多かった。そんな中、Samsung Display(Samsung Electronicsのディスプレイデバイス子会社)が、有機ELディスプレイパネル関連の展示と、それを使ったプロトタイプ製品を展示していたので、本稿で紹介したい。
Samsung Electronicsは、画面を折り曲げられる「フォルダブルスマートフォン」として、Galaxy Zシリーズ(Galaxy Z Flip/Galaxy Z Fold)をリリースしている。その人気ですっかり認知度を上げたものとして、「フレキシブル有機ELパネル」が挙げられる。
フレキシブル有機ELパネルについては、キー技術となる「曲がる基板」であるポリイミド製のフィルム基板はもちろん、有機画素の封止耐久性など、技術的にはまだ発展/進化の途上にある。さらなる高画質や耐久性の向上に向けて、日々技術開発が行われている状況だ。
とはいえ、その採用製品が市場から求められ、出荷台数が増えなければ、“次世代”のフレキシブル有機ELパネルの技術開発の必然性は高まらない。当然、そうなると投資予算も集めづらくなっていまう。
そんなこともあってか、Samsung Displayは量産化前の“突飛な”フォルダブルスマホを継続的に提案している。今回のIntel Innovation 2023でもご多分にもれず、面白いフォルダブルスマホを2種類展示していた。まず、筆者が撮影した実機の実演動画を見てみよう。
動画の前半に収められている1つ目の試作機は、三つ折りモデル「Flex G」だ。こちらは2023年3月に開催された「MWC Barcelona 2023」でも展示されたもので、側面から見たときの「三つ折り状態(の断面)」が、ちょうどアルファベットの大文字の「G」に見えることが、命名の由来だという。
画面を広げたときの画面解像度は1920×1200ピクセル(アスペクト比16:10)と、最近のスマホのトレンドから見るとやや低めではある。これは、現状のFlex Gが市販を前提としたプロトタイプではなく、あくまでも折りたたみ技術の検討用のプロトタイプだからだ。
最も内側に折りたたまれる有機ELパネルの折り目の曲率半径は約1.3mmで、アルファベットの「G」でいうところの、最も外周側の有機ELパネルの折り目の曲率半径は約3.5mmとなっている。
筆者も許可を得てFlex Gに触れてみたが、重さは現行の「Galaxy Z Fold5」あたりの2倍ほどある。厚みもパッと見で20mm近くあり、超薄型ノートPCと比べても分厚い。これをどの程度、薄く軽くできるかが、量産化のポイントとなるだろうか。
もちろん、耐久性や価格も気になるところではある。
動画に映っていた、もう1つのプロトタイプは少し趣が異なる。
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